【実食2025年ver】月見バーガー現象をマーケ視点で解剖。ファンを育てる季節限定の秘策とは

Kamiya

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こんにちは、&Fans 編集長の神谷です。

秋になると必ずSNSを席巻する「月見バーガー」。
発売日にはトレンド入りし、「食べた?」「今年はどう?」という声がタイムラインを埋め尽くします。単なる限定バーガーの枠を超え、いまや“秋の風物詩”として文化にまで昇華した月見バーガー。

なぜ30年以上も人々を惹きつけ続けているのでしょうか。
そして、なぜ他のハンバーガーチェーンまで巻き込む一大イベントに育ったのか。

実は筆者自身、今年が“月見バーガーデビュー”。
そこで今回は忖度なしの実食体験を入口に、歴史やデータ、そして他社参入の動きまで徹底的に掘り下げました。
ファンを育て続ける「季節限定戦略」の秘密、その全容に迫ります!

実食レビュー:初体験の月見バーガー3種食べ比べ

今年マクドナルドから発売された月見バーガーは3種*!、定番の「月見バーガー」、「チーズ月見」に加えて、「七味香る 牛すき月見」が新メニューとして加わっています。

月見バーガー三種
*厳密には、モーニング限定の「月見マフィン」や「月見パイ」などの商品も同時に販売。

ではそれぞれいざ実食、初のお月見体験です……

月見バーガー

まずは王道、定番の月見バーガーから。
包装を開けた瞬間から「はい、写真タイムですよ」と言わんばかりのビジュアルで登場。どっしりした姿に、まるで秋の風物詩の貫禄を感じます。

ひと口目で「なるほど、毎年バズる理由これか!」と即納得。濃厚なトマトクリーミーソースと卵のまろやかさがベストマッチ、さらにベーコンの塩気とパティの旨みがいい仕事をしてくれます。パティに散りばめられた胡麻も、香ばしいアクセントで脇役以上の存在感。

全体のバランスがよくて、食べ進めるほどに「なくならないで……」と思わせる満足感。SNSで“秋の儀式”と呼ばれるのも納得の完成度でした!

チーズ月見

続いては「チーズ月見」。見た目は定番にチーズが加わっただけなのに、開けた瞬間の“とろけそうな雰囲気”は確かに食欲をそそります。

ただ、ひと口食べてみて正直な感想を言うと……「あれ、違いそこまでわからない?」。
トマトクリーミーソースの存在感があまりに強くて、チーズのコクがちょっと埋もれてしまっている気がしました。
ソースの濃厚さが主役を張りすぎて、チーズが裏方に回ってしまった印象です。

とはいえ、美味しいのは間違いなし。チーズがあると思うと気分的に“ちょっとリッチ”な満足感もあって、「せっかくならチーズ入りで」と選びたくなる人がいるのは、この断面から流れ落ちるチーズを見ればわかるでしょう。

七味香る 牛すき月見

最後は「七味香る 牛すき月見」。ひと口食べた瞬間、甘辛いタレの旨みが口いっぱいに広がり、まさに“牛すき” meets “月見”、衝撃的な出会いです。ソースの甘さが際立ち、卵のまろやかさと相まって贅沢な丼感覚をバーガーで楽しめます。

ただ、辛党の自分としては「七味、もっと主張してきてもいいのでは?」と正直思いました。ほんのり香る程度なので、辛さを期待すると肩透かしかもしれません。

一方で、バンズに胡麻がないのは大正解。シンプルなバンズが牛すきの濃厚さをしっかり受け止めてくれ、パティの旨みをより引き立てていました
全体としては“和”のテイストがしっかり効いた、秋の新しい月見体験といえそうです!

結論:月見バーガーは我々を裏切らない

月見バーガーの断面美

初めて食べた自分にとっても、「なるほど、これが毎年話題になる理由か」と納得させられる味でした。
濃厚さとまろやかさのバランスが心地よく、シンプルに“美味い”。これが30年以上も愛されてきた原点なんだと思います。
秋になるとみんなが「今年も月見の季節だね」と自然に語り合うのは、やっぱり裏切らない安心感があるからこそ。
SNSで恒例の盛り上がりになるのも、実際に食べてみれば納得の完成度でした。

200個以上の候補から勝ち抜いた猛者!月見バーガーの歴史は、日本版「シーズナル・アイコン」だった

ここからは実食レビューから離れ、少し真面目に月見バーガーの歴史「なぜ人は月見バーガーに熱狂するのか?」を紐解いていきたいと思います!

月見バーガーが初めて登場したのは1991年。平成の始まりとほぼ同時にデビューしました。91年当時、新製品開発の候補は年間200個以上。そこから実際に商品化されるのは5個程度だったそうなので、『月見バーガー』はかなりの難関を勝ち抜いたバーガー、ということになります。

『月見バーガー』誕生秘話(引用:マクドナルド公式HP)
『月見バーガー』誕生秘話(引用:マクドナルド公式HP

当時のマクドナルドは、アメリカ発の定番メニューを軸にしつつ、「日本ならではの季節感」をどう打ち出すかを模索。その答えが“月見”です。卵=月に見立てるという、誰もが直感的に理解できるシンボルを商品に落とし込んだのです。

以降30年以上にわたり、「チーズ月見」「濃厚とろ〜り月見」「月見パイ」などの派生商品を展開。気づけば「秋といえば月見バーガー」という共通認識を築き上げました。
これは「ハロウィンにカボチャ」「クリスマスにケーキ」と並ぶ、日本版シーズナル・アイコンといえるでしょう。

データで見る“秋の風物詩化”

Googleトレンドで「月見バーガー」を検索すると、毎年8月末〜9月にかけて急上昇しているのがわかります。2025年も例外ではなく、9月頭に検索数が急騰していますね!

直近90日間の推移

さらに、X(旧Twitter)では発売初日に「#月見バーガー」がトレンド入り。数十万件規模の投稿が集まり、「今年も始まった!」「秋はやっぱりこれ」といったコメントでタイムラインが埋まり、もはや風物詩とも言える現象になっています。
これは企業が広告を打たなくても、ファンが自主的に熱を増幅させている好例です。

他チェーンも参戦! 月見バーガー祭り2025

近年はマクドナルドだけでなく、他のチェーンも「月見」メニューを続々投入し、SNS上でさらに盛り上がりを見せています。今年の各社の月見バーガーのメニューを一覧化してみました。

チェーン名商品名(一例)価格(税込)販売開始日(予定)
マクドナルド月見バーガー/チーズ月見/とろ旨すき焼き月見/朝マック 月見マフィン 他多数月見バーガー:440円〜 他は異なる設定 9月3日〜 
ケンタッキー・フライド・チキンとろ~り月見和風チキンカツバーガー/チーズフィレバーガー/トリプル月見 他和風チキンカツバーガー:590円、チーズ:540円、ツイスター:480円、トリプル:990円)8月27日〜、トリプルは9月2日まで(限定7店舗)
ロッテリア和風半熟月見 絶品チーズ/トリュフ薫る半熟チーズ/エビバーガー/てりやきバーガーチーズ・トリュフ・エビ:590円、てりやき:520円 9月3日〜10月上旬予定 
モスバーガー月見フォカッチャ/メンチカツチーズバーガー(裏月見)/バーベキューフォカッチャフォカッチャ:590円、メンチカツ:480円、BBQフォカッチャ:520円9月10日〜11月中旬予定 
ファーストキッチン系(FK/ウェンディーズ)チーズ月見もっちバーガー/月見もっちバーガー 他複数/トリュフ月見もっち 等多数チーズもっち:950円、月見もっち:920円、チキン竜田:790円、Jr.:640円/トリュフベーコネーター:1450円 他 8月28日〜9月下旬予定 
コメダ珈琲店お月見フルムーンバーガー/お月見てりやきバーガー/月見シロノワール他多種バーガー類:770〜840円、シロノワールなど:680〜940円 9月3日〜10月中旬予定 
ロッテリアでは定番の月見バーガーをおさえながらも、トリュフ薫る新商品をローンチするなど、高級感を打ち出した限定バーガーを販売。(出典:ロッテリア公式HP)

以上のリストからわかるように、複数のブランドが同時期に“月見”を打ち出すことで、SNSでは「どの月見食べた?」という投稿が増え、月見バーガーというカテゴリー自体がバズ化。選択肢が増えることで投稿の多様性が生まれ、結果として話題の総量が増す現象が近年起きています。

マーケ視点で解剖:ファンを育てる3つの秘策

月見バーガーがここまで長く愛され、毎年SNSを熱狂させるのは偶然ではありません。
その裏には、マーケティングの視点で見ると極めてロジカルな仕組みが隠れています。
ここでは特に、ファンを育て続けるための「3つの秘策」に注目してみましょう。

【月見バーガーから学ぶ】ファンを育てる3つの秘策

1. 限定性が購買欲を刺激

「今だけ」の言葉が人の心を揺さぶります。終了後は「また来年までおあずけ」という希少性が、次回発売への期待を自然に高める仕掛けになっています。

2. 恒例化で文化に昇華

毎年必ず登場することで「秋=月見バーガー」という行動習慣が確立。食べること自体が儀式化し、単なる食品が“文化”へと昇華しました。

3. 共創でファンが広告塔になる

SNS時代の月見バーガーは、マクドナルドの大規模な広告展開に加えて、ファン自身が盛り上げ役になっています。写真やレビューを自発的にシェアすることで、広告投資だけでは生み出せない規模の話題化が実現。 企業発信とファン発信が掛け算され、毎年恒例の“お祭り”として大きな広がりを生んでいます。

月見バーガーから学ぶ“季節限定戦略”の本質

初めて食べた筆者が驚いたのは、味そのもの以上に「文化に参加する感覚」があることでした。
月見バーガーは、商品ではなく年中行事を提供しているのです。

この「行事化戦略」こそがファンマーケティングの秘策。
企業にとってのヒントは、単なる限定商品の投入ではなく、「毎年の楽しみ」として人々の生活リズムに商品を組み込むことにあります。

月見バーガーが証明しているのは、限定商品の成功が“味”だけでは決まらないということ。
毎年の恒例化、SNSでの共創、そしてファン心理に寄り添う設計。それらが積み重なって、1つの商品を“文化”にまで押し上げています。

これはファストフードの話にとどまりません。あらゆるブランドが「どうやって自分たちの商品を、生活者の季節や習慣に組み込めるか」を考えるヒントになります。
&Fans を運営する rayout では、こうしたSNSを中心とした話題づくりやファンとの共創戦略を分析し、実行にうつすプロ集団です。「次の月見バーガー」をつくりたいと考えている方は、ぜひ一度ご相談ください!

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