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Shibashi
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チロルチョコのことが好きだったら、あなたも立派なチロリスト。
こんにちは、&Fans編集部の椎橋です。&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は「チロルチョコ株式会社」の河口幸誠さんにお話を伺いました。低価格で高品質な商品を生み出すその背景には、ファンとの密接な交流がありました。
価格高騰で値上げが相次ぐ昨今、クオリティーを下げることなく低価格を維持し、多くの人々に愛され続けるチロルチョコ。一粒のチロルに秘められた社員の情熱と、ファンを虜にする戦略に迫ります。

目次
チロルチョコ株式会社は、チロルチョコの企画販売をする会社です。1903年に福岡県田川市で創業した松尾製菓から、2004年に商品企画・販売部門を分離して設立されました。新たなチロルチョコを生み出すために日々開発し、松尾製菓で製造しているものを卸売業者を通じて販売しています。
1962年にチロルチョコが誕生したときは、チョコレートは高級品でした。子どもたちでも気軽に手に取ってもらえるように、という当時の代表の想いから、1つ10円で販売を始めました。当時から今に至るまでこの想いを受け継いできたので、低価格を維持したいという想いがあります。原料や配合の見直しを含め、なるべく価格が高くならないように頑張っています。

当社の代表がファンベースマーケティングに出会い、「これからの時代はただ物を売るだけでなく、そこに付随するストーリーを大事にしていくことが必要になる」と確信してから、楽しさや面白さをファンに向けて前面にアプローチする方向へ舵を切りました。
パッケージのデザインや、味の種類を豊富にすることでアプローチしています。「この食べ物ってチロルチョコで再現できるんだ」という驚きや、楽しさ。社員のこだわりが、ファンやお菓子好きの人に興味を持っていただいているように感じます。
社員たちも楽しみながら開発をしています。
ブランドとして一番認識される形状であり、その形を変えないことも愛される理由の1つだからです。台形の形のかわいさはもちろん、構造を三段層にすることで複雑な味の再現を可能にしています。噛む瞬間の感触まで考え、フレーバーを表現しています。
インスタライブを毎月1回は必ず行い、社員が直接ファンとコミュニケーションを取るようにしています。お客さまという垣根を越えて、同じものが好き同士という感覚を共感し合うような形でコミュニケーションを取っています。

「TIROLIST」と書いてあります。チロルチョコのコアファンは「チロリスト」という愛称で呼ばれているんです。このTシャツは、「チロルMTG」というイベントでスタッフが着用していたものです。
そうかもしれませんね(笑)。チロリストは、チロルチョコを本当に愛してくれているんです。チョコを包んでいるパッケージを何千枚も集めてくださる方や、JANコードの微妙な変化に気づいてくださる方もいます。ミルク味の牛柄の違いを楽しんでくださったり、限定の味を大量購入してくださる方など、作り手のやる気を高めてくれるような愛着を抱いてくださいます。
チロリストがパッケージをファイリングしたい、というのであれば「じゃあどういうサイズだったら良いだろう」「台紙はどんなものにしよう」など話し合って、ファンの声を聞きながらグッズを作成することもあります。

このファイルは台紙にもこだわっていて、パッケージの透明な部分に「チロルチョコ」のロゴがくるようデザインしてあります。

おかげさまで、チロリストからは「これを待っていた」「これが欲しかったんだ」と喜んでいただけました。
2022年に初めてオフラインでイベントをしたときは、100名のチロリストが参加してくださいました。一昨年の2023年では1,000人以上の方が参加くださってとても驚きましたね。今までと違ってファミリー層が多かったことも新たな発見でした。

他にもパッケージデザインにあるスノードームのオブジェを見て、「欲しい!」という声に対してキャンペーンを行うこともありました。

イベントもSNSでの配信も、学校の文化祭だったり交流会のような雰囲気で行っていますね。だからファンの方も気軽に感想や意見を述べやすいのかもしれません。
はい。「もう一度あの味が食べたい」という声に対して発売に踏み込んでいます。「待ってました」なんてお声やご感想も沢山いただきます。
他にも、アップルパイという商品はオフラインのイベントでファンに投票してもらいながら、パッケージデザインの方向性や味を決めました。
発売前の商品を実際に食べていただいて「A案、B案どちらがいいですか」という問いにお答えいただきました。
忖度なく、また開発側とは違った視点からのご意見がいただけるので私たちとしてもとてもありがたい交流の場です。
ファンの方はもちろん、社員である私たちが笑顔で物作りをすることができる取り組みを行っています。「チロルフェス」というイベントでは、ほとんどの社員が運営に携わったのですが、一番楽しんでいるのは自分たちだった、と思うほどの気持ちで臨んでいました。参加されたお客さまから「ホスピタリティがすごい」というお声をいただいて、アンケートにお答えいただいた方の95%が『満足度を感じた』と回答してくださりました。
当社の代表が「楽しいことを自分たちが一番楽しむと、それがお客さんに伝わる」と言っており、まさにそれが数字にも表れましたね。
「夜メール」という日報のような仕組みも特徴的だと思います。「今日のひとこと」という部分に社員が自分のプライベートなことを書いて全員に送り合うのですが、同じ趣味を持つ人たちがつながったり、他部署の人となりが見えるようになって、コミュニケーションが取りやすくなっています。
当社の中には「なんでもやってみよう」という精神が根付いています。誰もやったことがないことに取り組んでみたり、遊び心を入れながら働くことが「チロルらしさ」という文化として長年あるんです。
社員のエンゲージメントを意識することで、気軽なおしゃべりや、意見の言いやすさなどが広がって新たな発見やアイデアが生まれていると感じます。
すいか味のチロルを発売した際に、チロルが入っている箱が真ん中からパカっと割れたら楽しいよね、なんて意見が出て採用されたことがあります。
また販売のスタッフから、バラエティボックスを開封した時、フタの裏側にメッセージが書かれていたら良いのではないか、という意見も出ました。ただ商品を渡すだけではなくて受け取った相手の気持ちを考えてのちょっとした工夫。販売スタッフならではのアイデアだと思いました。

チロルチョコは発売当初の昭和では駄菓子屋、平成ではコンビニのレジ横で売っているチョコというイメージがありました。それぞれの時代のニーズに合わせて市場やテイストを変えながら進化し続けてきました。令和の時代を迎えた今、現在に生きている人たちに求められている新しいチロルチョコ像を作っていきたいと考えています。
昨今ではファンの声を沢山知ることができ、「一緒にチロルチョコを作っている」という感触が強くとても喜びを感じています。新しいチロルチョコとしてのカルチャーをチロリストと共に創造していきたいです。
低価格でありながら魅惑的なフレーバーで私たちを楽しませてくれるチロルチョコ。その一粒の中には、チロルチョコを愛する人を大切にする、ファンへの熱い想いが詰まっていました。要望やアイデアを受け止めて生かしてくれる姿勢に、開発メンバーの一員になれたような感覚を覚えるファンもいるのではないでしょうか。おいしさと楽しさで思わず笑顔がこぼれる体験を気軽に一粒味わってみてはいかがでしょう。
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