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こんにちは、&Fans編集部の矢田です。&Fansでは、熱狂を生み出す企業や個人のストーリー、そしてそこに紐づくマーケティングの考え方をお届けしています。
今回は、下北沢の街を舞台にさまざまな取り組みを仕掛ける「I LOVE 下北沢」を運営するスパイラル株式会社の西山友則さん、赤坂天羽さんにお話を伺いました。
下北沢といえば、音楽・演劇・カルチャーの街。そんな下北沢の魅力を最大限に活かし、訪れる人が街全体を楽しめる情報の発信や、「カレーフェスティバル」「チーズと激辛フェス」など、ユニークなイベントを開催しているのが、「I LOVE 下北沢」です。
・イベントを通じて、どんな仕掛けをしているのか?
・下北沢がずっと魅力的な街であり続けるために、何が必要なのか?
ユニークなまちづくりの最前線を走るお2人の視点から、街が愛される場所にするためのヒントについて伺いました。
目次
西山:事業の背景として、元々うちの会社は、データベースなどをクラウド提供している「SPIRAL®︎」というシステムを提供するIT企業なんです。2010年頃、ITを活用することで地域性が失われつつあることに危機感を覚え、ITを使って街を活性化できないかと考えたのが始まりです。
西山:ITの発展で地域のつながりが薄れてしまったという考えが根底にあります。だからこそ、ITの力でもう一度、人と街をつなぎ直したい。便利なITサービスで効率は上がったが、交流は減っているのでは?と。そこで、「ITの便利さを活かし、人と街のつながりを深める新しい形を作れないか?」と考えました。
西山:いくつかの地域を視察させてもらった中で、下北沢はある種の課題がありつつも魅力がある街でした。当時、駅前が工事中で、乗降客数が減少していたり、古着ブームや音楽ブームが少し下火になっていたりという状況でした。しかし、独特のカルチャーや個性を失っていない点に可能性を感じたんです。
西山:そうですね。私たちが「I LOVE 下北沢」をはじめたのは2011年くらいのタイミングでしたが、すでに他の企業が「ホームページ作りませんか?」と営業していたんです。でも、作ったはいいものの集客にはつながらず、さらに「制作費はかかるのに、その後のフォローがない」といったケースは少なくなかったようで……。
西山:そうですね。そのため最初は「無料で掲載するので情報をください」という形でウェブサイトを作り、少しずつ関係を築こうとしました。でも、やっぱり「うちはいいよ」と断られることも多く、なかなか大変でしたね。
ただ、僕がこのプロジェクトに入ったのは立ち上げの2年目で、それまでに別のメンバーが1年間かけて100店舗ほどを開拓してくれていたんです。そのおかげで、僕が担当した時にはある程度の土台ができていました。
西山:それは間違いなく「カレーフェスティバル」の開催です。地元の飲食店さんと一緒に立ち上げたイベントだったんですが、最初の開催時は60店舗ほどが参加してくれました。イベントを通じて「リアルにお客さんを呼べる」という実績ができたことで、「あ、ちゃんと結果を出してくれるんだ」と信頼してもらえるようになったのかと思います。
西山:最近は120店舗ほど参加いただきました。ありがたいことに年々規模が大きくなっています。
西山:課題って、立場によって感じ方が違うんですよね。ある人にとっては「もう解決した」と思えることが、別の人にとっては「まだまだ課題だ」と感じることもあると思います。
例えば、週末は人で賑わうけれど、平日の集客はまだまだ課題です。飲食店さんの中には平日の売上に苦戦しているところもあるので、そういった部分をどう改善していくかも重要ですね。
西山:実は、インバウンドに関しては慎重に考えています。海外の観光客が増えると、どうしても街の物価が上がったり、雰囲気が変わってしまうことがありますよね。
下北沢の魅力って、若い人が気軽に楽しめる雰囲気だったり、お店の人たちが「ただ売上を上げるためだけに商売をしているわけではない」っていうところにあって、それが魅力だと思うんです。だから、インバウンドを増やすことだけが目的にならないようにしたいなと。
西山:そうです。もちろん、インバウンド向けの施策を完全にやらないわけではないです。例えば、カレーフェスティバルの英語版を作ったり、海外向けのプレスリリースを出したりしたこともあります。でも、「とにかく海外のお客さんを呼ぼう!」という方向ではなく、あくまで下北沢らしさを保ちながら、興味を持ってくれた人に来てもらう形にしたいなと考えています。
西山:そうなんですよね。だからこそ、「下北沢の空気感が好きな人に来てもらう」っていう方向性で、これからも街を盛り上げていけたらと思っています。
西山:やはり、下北沢は個人でお店を経営している方が多いのが特徴だと思います。大手企業が主導するまちづくりだと、どうしても画一的な空間になりがちですが、下北沢は店主一人ひとりが「自分の店」を作り上げる意識が強い。そういった個性の集合体が、結果として街の魅力につながっているんです。
西山:そうですね。例えば「ボーナストラック」というエリアでは、下北沢らしさを意識した新しい商店街をつくるための開発が行われています。そこに関わっている小田急さんや散歩社のみなさんも、ただの再開発ではなく、「下北沢らしい変化」を考えてくれているので、いい形で新しいスペースが生まれているのではないかと感じています。
西山:ありますね。例えば、「しもブロ」さんなどのローカルメディアとの交流や、制作会社の方々との情報交換の機会もあります。下北沢の文化を支える人たちが、それぞれの立場で関わりながら、街を盛り上げているんです。
西山:この部分はうちのスタッフの阿部が中心となって関係を築いてくれています。彼はとにかく店に足を運んで、コミュニケーションをとることを徹底していたんです。
西山:そうですね。お店の方に認知してもらうには、まず顔を覚えてもらうことが必要です。定期的に訪れて話をすることで、信頼関係が生まれ、そこから一緒にイベントをやったり、新しい取り組みに発展していくんです。
西山:企画は、いくつかの視点を組み合わせて生まれます。まずは、他の地域で成功しているイベントを参考にし、それを下北沢風にアレンジできないかと常に考えています。
西山:さらに、イベントに参加してくれるお店やお客さんの声も重要なヒントになります。企画のアンケートを実施して、「次にどんなイベントをやりたいか?」という意見を集め、それを基に新しい企画を考えます。
西山:例えば、「カレーフェス」も最初は数十店舗の参加から始まりましたが、参加者の反応を見ながら少しずつ進化させていきました。だからこそ、長く続けられているんだと思います。
西山:そうですね。繰り返すようですが僕たちは、街の個性を守りながら、下北沢らしい変化を生み出していくことが大切だと思っています。
西山:そうなんですよね(笑)
赤坂:ですね(笑)でも、そこは一番無視しちゃいけないポイントです。
赤坂:あくまでそのお店の自主性・個性に任せてはいるのですが、相談を受けることはあります。「こういうメニューを出したいけどどう思う?」といった相談には、アドバイスをすることもあります。
赤坂:そうですね。回を重ねるごとによりいいイベントがお店の人と連携してつくれていっている感触はあります。
情報発信の面では私が主に担当しているのですが、例えば特にパンフレットやウェブサイトの更新に必要な情報を、期限通りに集めるのはまだまだ課題が残っています。今後、ITを駆使してそのような点も徐々に改善していきたいなと考えています。
赤坂:カレーフェスは特にリピーターが多いですね。ただ、チーズと激辛フェスなど、比較的新しいイベントでは、まだそこまでリピーターが定着しているわけではありません。そこは今後の課題ですね。
西山:うちのアプリでは、ユーザーがどのお店に行ったか、どのイベントに参加したかのデータを蓄積しています。ただ、現状ではそのデータを活用しきれていないんです。ファンになっていただくために、どうやって効果的に活用するかはこれから特に考えていきたいです。
西山:そうですね。本来なら、データを基に「A店に行った人はB店も好きな可能性が高い」みたいな傾向を分析して、次に訪れるお店をおすすめできるはずなんです。そういう仕組みを作れば、YouTubeのように「おすすめを見ているうちにどんどん次が気になる」みたいな形で、下北沢をもっと楽しんでもらえるかもしれません。
西山:そうなんですよ(笑)何度来ても新しい発見がある街なので、リピーターが自然と増える仕組みを作りたいですね。
赤坂:そうです。過去には12万人規模の来場者がいました。開催期間が1カ月ほどあったので、先に話したように平日と休日の来場者数にムラがあるのは課題ではあります。
また、単発のイベントを例に挙げると、下北沢盆踊りはうちの主催ではないですが、サポートさせてもらっていて、1日で2万人以上の来場があります。
赤坂:そうですね。商店街のイベントや、下北沢の地元に根ざした信用金庫が主催するイベントを支援することも多いです。関わり方はさまざまな形があって、街全体の活性化に貢献できる形で関わっていければと思っています。
西山:やはり冬は寒いので、チーズと激辛で温まってもらおうというのがコンセプトです。実は過去にも同じテーマで開催していて、集客が良かったんです。今年もそれを踏襲する形になりました。
赤坂:そうですね、実際に吹き飛ばせるかは別として(笑)。
西山:はい。各店舗ごとに特色があるので、いろいろなお店を回ってもらい、自分のお気に入りの店を見つけてもらえたらと思っています。イベント終了後も、「あのお店、また行きたいな」と思ってもらえるようなきっかけを作りたいですね。
西山:はい。イベントごとにスポンサー企業を募っています。
西山:どちらもあります。ありがたいことに定期的にご協賛いただく企業さまもいらっしゃいますし、このイベントならこの企業さまにご協賛いただけたらいいなと、お声かけしているパターンもあります。
西山:まずはイベントのテーマに合った企業に声をかけます。「激辛」や「カレー」に関連する企業さんは相性がいいので、そういったところに積極的にアプローチします。
西山:ありがたいことに喜んでくださる企業さんが多いですね。特に最近は「下北沢」という街自体のブランド価値が高まっていて、「若者向けのプロモーションをしたい」と考えている企業さんからの引き合いが増えています。
西山:そうですね!「若者向けにブランドのファンになってもらいたい!」「トレンドに敏感な層にアプローチしたい」と考える企業さんにとって、下北沢でのイベントは魅力的な場になっています。さらに、テーマが「激辛」「カレー」など明確なものだと、関連する企業さんにも提案しやすくなるんですよね。
イベントを楽しむ人たちが自然と企業のプロモーションに触れられる場を作ることで、参加者にもスポンサーにもメリットのある仕組みを目指しています。
西山:「I LOVE 下北沢」としての経験を活かして、他のエリアにも展開できる可能性はあると思っています。まだ完全にパッケージ化できているわけではないですが、ITを活用して継続的に顧客を獲得できる仕組みが整えば、他の街にも広げていきたいですね。
西山:そうですね。商店街ごとに特色が違い、お店の経営者もデベロッパーも異なるため、1つのモデルをそのまま他の街に適用するのは簡単ではありません。でも、ここは面白そうだなと思う街はいくつかあります。
西山:高円寺は魅力的ですね。ほかにも代田橋の「沖縄タウン」など、独特なカルチャーを持つ街には可能性を感じます。
一方で、再開発によってどんどん姿を消してしまう街も少なくはない状況です。そうした独自の文化をどう守るかが大きな課題だと捉えています。
赤坂:そうですね。一番重要なのは、「思いの強い人」がいることです。その人が先進的な
考えを持ちつつ、街の雰囲気を残しながらアップグレードしていくような知見を持っている必要があります。そういうキーマンがいると、その人を中心に周囲を巻き込みながら街を良くしていくことができるのかな?と思っています
赤坂:そうなんです。「街を守りたい」という思いがある人が声を上げて行動しないと、気がついたら時代の変化に飲み込まれている、ということになりかねません。下北沢には、物理的な建物ではなく「空気感」を守りたいという人が多いんです。だからこそ、独特の雰囲気が今も残っているのだと思います。
■シモキタ古着祭2025
日時:2025年6月23日(月)~6月29日(日)の7日間 ※時間は参加店舗の営業時間に準ずる
https://love-shimokitazawa.com/archives/4415
西山:イベントをもっと一元管理できる「プラットフォーム」を作りたいと考えています。現在、ウェブ上でイベント情報を発信していますが、それをもっと発展させて、集客やチケット販売、イベント管理をすべて一つのシステムでできるようにしたいんです。そうすることで、誰でも簡単にイベントを立ち上げられて、スムーズに集客・管理ができる仕組みを提供できるようになります。
西山:そうなんですよ。東京だけでなく、全国の街でも活用できる仕組みにできれば、さらに多くの地域の活性化に貢献できると思っています。下北沢の成功を、より多くの街に広げられる未来を目指して、まずは今年中にこのプラットフォームを立ち上げたいですね。
ーそれが実現すれば、全国の街の活性化に大きく貢献できそう……!楽しみにしています! 本日はありがとうございました。
取材後、いてもたってもいられず、ちょうど開催されていた「チーズと激辛フェス」に参加してきました!
アプリでスタンプを集めながら、激辛×チーズのクセになるメニューをまずはチェック!カフェ&ライブバーARKBOXさんの「激辛牛すじ煮込み」で汗をかきながらスタートしました。
続いてユッケジャン風の肉料理で旨みと辛さのバランスに唸り、最後はチーズがとろける鉄板料理でフィニッシュ。アプリのスタンプカードを片手に、まさに“街を食べ歩く”楽しさを体感できました。
そして、最後には嬉しいお土産もいただいちゃって……
街を巡りながら味わう一皿一皿が、下北沢のカルチャーの一部のように感じられ、「I LOVE 下北沢」が目指す“共創の仕組み”がここにあると実感しました。今後「I LOVE 下北沢」の方々が仕掛けるイベントがさらに楽しみになった取材でした!
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