企業が取り組まなければ時代遅れ:ESGとは?環境・社会・ガバナンスの実践と成功事例
kamiya
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こんにちは、 &Fans 編集長の神谷です。&Fans では、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリーや、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
近年「ESG」という言葉を耳にしたことはありませんか?ESG(環境・社会・ガバナンス)とは、これからの社会で企業が持続可能な成長を遂げるために重視すべき3つの重要な要素を指しています。なぜかと言うと、これまでの企業活動は利益の追求が中心でしたが、近年、気候変動や社会的課題への対応、企業の透明性の向上が求められるようになり、ESGは経営の新たな基準として注目を集めているからです。
本記事では、企業活動の観点としてスタンダードにもなったと言えるESGの基礎知識から、企業が実践すべき取り組みや成功事例、導入に向けたステップまで、プロの目線から詳しく解説します。
ESGの基礎知識:定義とその役割とは
ESGって何?と基本概念
ESGとは、環境(E)、社会(S)、そしてガバナンス(G)の3つの要素から成り立ちます。企業が社会や環境に与える影響を評価し、持続可能なビジネスモデルを構築するための指針として機能します。具体的には、環境問題への対応、人権や労働環境の向上、企業の透明性確保といった側面が評価されます。
グローバルなESGトレンドの背景と意義
ESGは、特に気候変動や社会的格差の問題が深刻化する中で、日本だけでなくグローバルなビジネストレンドとして急速に注目されています。世界的なサステナビリティの要求が強まる一方で、投資家や消費者は企業に対して、利益だけでなく、環境や社会的責任を果たすことを期待しています。つまり、長期的な成長とリスク管理に直結し、持続可能な未来を構築し、ビジネスとしても成長するための必須条件となっています。
投資家がESGに注目する理由
ESGは、投資家にとっても非常に重要な指標に現在はなっています。環境破壊や社会的不正、企業の透明性の欠如は、企業の評判や長期的な財務パフォーマンスに影響を及ぼします。そのため、ESGスコア*が高い企業は、長期的な安定性と信頼性が高いとみなされ、投資家からの評価が高まる傾向にあります。多くの機関投資家が、ESG評価を投資判断の重要な要素として取り入れています。
*ESGスコア:第三者機関によって企業の社会的・環境的に配慮した取り組みを評価することで算出される指標
環境(E):持続可能な成長に向けた取り組み
環境保護と企業の役割:脱炭素社会、エネルギー効率の改善
環境(Environment)は、企業が環境に対して与える影響を最小限に抑える取り組みを指します。特に脱炭素社会の実現に向けて、多くの企業がカーボンニュートラルやエネルギー効率の改善を目指しています。例えば、再生可能エネルギーへの移行や、工場やオフィスのエネルギー効率を向上させる施策が広がっていますよね。
再生可能エネルギーの利用促進
環境に優しいエネルギー利用は、企業にとって大きな課題であり、再生可能エネルギーの利用促進はその解決策の一つです。太陽光、風力、水力発電などのクリーンエネルギーへの移行は、長期的に企業のコスト削減と持続可能な成長に寄与します。これにより、環境負荷を軽減しつつ、持続可能な未来を実現することが可能です。
環境負荷削減の取り組み事例(プラスチック廃止、資源の効率化)
多くの企業が、プラスチック廃止や資源の効率化を図ることで、環境負荷の削減に取り組んでいます。たとえば、国際的なファッションブランドは、プラスチック包装の廃止やリサイクル素材の活用を進めています。こうした取り組みは、消費者からの評価を得るだけでなく、地球環境保護にも大きく貢献しています。
ただし本質的でない環境アクションを企業として行っていくことはグリーンウォッシュ*に繋がるため、上記に挙げた取り組みに限らず何が環境にとっていいのか、企業としてできるのかは慎重に判断しアクションをとるべきです。
グリーンウォッシュ*:環境に配慮しているかのように見せかけて、実際にはそうではない企業の行為
社会(S):人材とコミュニティへの責任
ダイバーシティとインクルージョン推進の重要性
社会(Social)の要素では、企業が人材やコミュニティに対して責任を果たすことが求められます。特に、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(包摂)の推進は、現代社会において非常に重要です。ジェンダー平等や人種、文化の多様性を尊重し、包括的な企業文化を形成することで、企業は社会的責任を果たしながら、従業員の満足度や生産性を向上させることができます。この観点は「DEI」について述べた記事に詳しく載せているので、興味があるかたはチェックしてみてください。
労働環境の向上と従業員満足度への影響
従業員の労働環境の改善は、企業の社会的責任の一環として重要な役割を果たします。ワークライフバランスの向上、健康管理や福利厚生の充実は、従業員のエンゲージメント(満足度)を高め、企業全体の生産性を向上させる結果をもたらします。さらに、労働環境の向上は、企業の持続的な成長に直結する要素なのは言わずもがなですよね!
地域社会への貢献活動とCSR(企業の社会的責任)
多くの企業が、CSR(企業の社会的責任)活動を通じて、地域社会への貢献を行っています。例えば、地元の教育機関との連携や、ボランティア活動、寄付プログラムなどを通じて、コミュニティに積極的に関わることで、企業は社会的な評価を高めることができます。このような取り組みは、企業ブランドの向上にも寄与します。
ただ、こちらもEで述べたこと同様に本質的でない(本気でない)企業の活動はリスクにもなりうるので、取り組むからには自社ができるアクションとして何を地域・社会に還元できるかを意識して取り組んでみてください。
ガバナンス(G):企業透明性の向上
コーポレートガバナンスと倫理的経営の強化
ガバナンス(Governance)とは、企業の統治体制や倫理的な経営の在り方を指します。特にコーポレートガバナンスの強化は、企業の透明性や信頼性を高めるために重要です。企業の意思決定プロセスが公正で透明性があることが、社会的な信頼を得るための鍵となります。取締役会の役割やリーダーシップの強化も、この分野での重要な要素です。
コンプライアンス遵守とリスク管理の仕組み
ガバナンスを強化するためには、企業が法令を遵守し、適切なリスク管理体制を整えることが不可欠です。コンプライアンスの遵守は、企業の評判を守るだけでなく、法的リスクを回避し、長期的な安定成長を支える基盤となります。さらに、適切なリスク管理を行うことで、危機発生時の迅速な対応が可能になります。今の時代、コンプラコンプラ!と叫ばれている中、企業も避けては通れない重要な観点だと言えます。
取締役会の役割とガバナンス構造改革の実践
取締役会の役割は、企業のガバナンスを監視し、重要な意思決定を行うことです。特に、ガバナンス構造の改革が進む中で、取締役会はより多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されることで、さまざまな観点から企業の意思決定をしていくことができると言えます。
またそこで話された内容などを(一部でも)従業員に開示したり、社会に発信していくことは従業員・顧客に信頼される企業に繋がるでしょう。
グローバル企業の成功事例と課題克服
既に多くのグローバル企業がESGの考えを重要視し、さまざまなアクションをとっています。
例えば、ユニリーバは持続可能な製品戦略を通じて、環境負荷を軽減しつつ収益を拡大しました。廃棄物削減や持続可能なサプライチェーンの構築を進め、消費者から高い支持を得ています。また、パタゴニアは、環境保護に積極的に取り組む姿勢を示し、顧客との信頼を築きました。製品のリサイクルプログラムや環境メッセージの発信が成功要因です。どちらの企業も、課題として社内文化の変革を伴いましたが、リーダーシップを通じて社員の共感を得ることができました。
参考:
・ユニリーバ「サステナビリティは新しい時代へ」(https://www.unilever.co.jp/sustainability/)
・「パタゴニアの環境保全・サステナビリティに見る、企業の新しいカタチ」(https://press.ichicommons.com/sdgs/patagonia/)
ESG導入に向けたステップバイステップガイドを紹介!
企業文化とESGを結びつける重要なポイント
ESGは単なる施策ではなく、企業文化に根付かせる必要があります。価値観を共有し、従業員一人ひとりが共感できるESG目標を掲げることで、企業全体での一体感・本質的なアクションに繋がり、持続可能な成長につながるでしょう。
このように、ESGの観点は既に多くの企業が取り組んでおり、この観点を取り入れていない企業はもはやこれからの時代に取り残されてしまうかもしれません……
&Fans を運営する rayout ではESGの導入に限らず組織運営の整備のお手伝いをしています。まずは何をやったらいいか、ざっくりとした相談でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
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