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誰かの投稿が次の誰かの行動を生む。そんな小さな循環が、いつしか熱量の高いファンを生み出すきっかけになることを知っていましたか?
こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は、総合電機メーカー「シャープ株式会社」のSmart Appliances & Solutions事業本部 国内キッチン事業部・吉田さんに、同社が運営するユーザーコミュニティ「ホットクック部」についてお話を伺いました。
シャープが展開する水なし自動調理鍋「ヘルシオ ホットクック」は、健康的で美味しい料理を自動調理できる家電として多くの支持を集めてきました。そのホットクックを軸に、ユーザー同士のレシピ投稿や調理の成功・失敗談など、一般的なレシピサイトとは違う“料理を通じた対話や共感”が行き交う場として立ち上がったのがホットクック部です。
初心者が気軽に質問し、経験者が回答する。誰かの投稿に背中を押されて、他の誰かの行動につながる……。そうした循環からホットクックを使う体験自体に価値が生まれ、CXの向上にもつながっています。
今回は、シャープがなぜコミュニティ運営に取り組んだのか。ユーザーとの共創をどのように設計し、育ててきたのかを深掘りしていきます。

目次
ホットクックはシャープが2015年に発売した自動調理鍋です。業界初の水なし自動調理鍋として注目を集め、累計出荷台数は65万台(2024年6月末時点)を突破しました。食材を入れてスイッチを押すだけの“ほったらかし調理”ができるほか、予約調理に対応していたり、650以上のメニューを調理できたりする点も魅力の商品です。

年を重ねるなかでユーザー層も変化しています。発売当初は共働き世帯を中心に利用されると想定していましたが、火を使わずに調理できる点が評価され、初号機は年配の方々からの支持を集めました。その後はサイズを大きくしたり、新機能を搭載したりすることで、ファミリー層にも使いやすい製品へと改良を重ねています。
それだけでなく、ホットクックは暮らしにゆとりをもたらす存在でもあります。実際にユーザーの皆さまに「ホットクックを使い始めて暮らしは変わりましたか?」と伺ったところ、約90%の方が「変わった」と回答しているほどです。

そうしたなかで迎えた2020年。コロナ禍による巣ごもり需要を機にユーザーさまのレシピ投稿が増え始め、ユーザー同士がレシピをおすすめし合う場面を目にしました。これらの交流が活性化すればホットクックをより身近に感じてもらえると考え、ファンコミュニティ「ホットクック部」を立ち上げました。

ユーザーの皆さまには自由に投稿していただきたい一方で、企業が運営する以上、どこまで関与すべきかという距離感の舵取りに悩みました。企業が見てくれているから投稿するという動機だけになると、コミュニティ本来の良さが失われてしまいます。あくまでユーザー間の自然な会話が生まれる場であることを意識しながら、運営のあり方を模索していました。
できるだけ企業が入り込まないほうがユーザーさまは発言しやすいと考え、当初はあえて距離を取る運営を心がけていました。しかし、関与しすぎないとユーザー同士の会話が活性化しないことに気づき、現在はイベントを実施したり、企業色を出し過ぎないコメント投稿をしたりする運営を心掛けています。

こうした試行錯誤を重ねるなかで少しずつ登録者数も増え、ユーザー同士のつながりが生まれ、コミュニティとしての形が整ってきたように感じています。
当社では調理商品のInstagramアカウントも運営していますが、あえて明確に区別しすぎないようにしています。どのように住み分けるべきか試行錯誤した時期もありましたが、その過程でファンコミュニティからInstagramへ活動の場を移されるユーザーさまも目にしました。
ただ、それをネガティブに捉えてはいません。ユーザーさまそれぞれに居心地の良い場所があると思いますし、ご自身に合った場を選んでいただければ十分だと考えています。私たちとしても、その時々の状況を見ながら柔軟に運用を調整していきたいです。
単なる交流の場にとどまらず、ユーザーさまの使い方や悩みなどのリアルな声を聞ける場としても効果を発揮しています。実際に「お手入れが楽になると使いやすい」という意見を受け、鍋の材質をステンレスからフッ素に見直しました。
そうですね。過去の調査では、ホットクックを週に3回以上使用している方は全体の約60%でしたが、直近の調査では約80%まで増加しています。こうした結果から、ホットクック部で交わされるユーザー同士のコミュニケーションが、使用頻度の向上を少なからず後押ししているのではないかと感じています。

はい。多くのユーザーさまに共通しているのが、購入直後はさまざまなメニューを試すものの、一通り作り終えるとマンネリ化し、使用頻度が下がってしまうというものです。そうしたタイミングで、ホットクック部で交わされる「こんな使い方もありますよ」といった他のユーザーさまの投稿に触れることで、もう一度使ってみたい気持ちが醸成され、結果的に使用頻度の向上につながっていると感じています。
はい。これまでに東京と大阪で、ホットクック部のファンミーティングを開催してきました。美味しい食事を囲みながら情報交換を行い、ユーザー同士の横のつながりを深めていただくことを目的としたイベントで、熱量の高い方々に多くご参加いただきました。
また、コロナ禍ではオンライン形式で実施し、100名を超えるユーザーさまに参加していただいたことは大変印象に残っています。さらに2025年11月には、ホットクック発売10周年を記念し、ギネス世界記録™「オンラインで同時に自動調理鍋を開けた最多人数」”Most people opening automatic cookers online simultaneously”に挑戦し、見事認定されました。

イベントではユーザーさまの声を直接伺うことができ、ホットクックの開発・企画に携わる私たちにとっても非常に貴重な機会だと感じています。実際にお話をするなかで「ホットクックを勧めたら、10人もの知人が購入してくれた」というエピソードを聞いたときはとても嬉しかったです。また、オンラインファンミーティングでは終了予定時刻を過ぎても誰一人退出することなく会話を楽しまれており、ユーザーさまの熱量の高さを改めて実感しました。
ホットクックが持つ特長そのものが、熱量の高い“ファン”を生み出しやすいからだと考えています。ホットクックで調理できるメニューは、当社が推奨しているものに限らず、ユーザーさま自身が試行錯誤しながら新しいレシピを生み出していく余地があります。そうした過程が「こんな料理を作ってみたい」という好奇心を刺激し、楽しみながら使い続けてもらえる要因になっているのではないでしょうか。さらに、新メニューが生まれると誰かに共有したくなり、結果としてファンコミュニティとの親和性も高まり、熱量の高いユーザーさまが自然と増えていくのだと思います。
ホットクック部は、アンケートを実施するとすぐに反応が集まり、率直な意見を寄せてくださるユーザーさまが多いのが特長です。そうした声を丁寧に拾いあげ、できる限り商品開発や進化に反映していきたいと考えています。また、ホットクックに深い愛情を持ってくださっている方々の思いを大切にしながら、今後も楽しんでいただけるようなイベントや取り組みを継続的に企画していきたいです。
ホットクック部から見えてきたのは、シャープが重視しているのが「売ること」ではなく、「楽しく使い続けてもらうこと」だという点でした。
商品そのものだけでなく、使う体験やユーザー同士の関係性までを含めて価値と捉えているからこそ、コミュニティという選択につながっているのだと思います。ユーザーの声に向き合い、ときに距離を保ちながら場を育てていく。その積み重ねが、使う楽しさを更新し、CXの向上にもつながっています。
企業とユーザーが共に価値をつくる関係性は、これからのブランドづくりにおいて欠かせないものになっていくはずです。
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取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作
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