資料ダウンロード
rayoutはファンマーケティングを活用した
PRをご支援しています
閉じる
Takanashi
Takanashi
共働き世帯の増加、保育施設の人員不足……。保育現場を取り巻く課題は多いものの、なかなか解決されていないのが現状です。しかし、そうした課題を解決する手段として写真が注目されていることをご存じでしょうか?
こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は、創業100年を超える老舗の総合文具メーカー「株式会社サクラクレパス」の教育ビジネスソリューション事業本部・イロドキ事業課の大西さんにお話を伺いました。
待機児童問題の改善が進み、保育への関心は量から質へと移りつつある現代。そうした時代の変化のなかで、サクラクレパスが立ち上げた新サービス「イロドキ®」が注目を集めています。
保護者が我が子の姿を見られる機会といえば、行事時に限られるのが一般的でした。そんな常識のなかで誕生したイロドキ®は、アプリを通じて“日常的な”我が子の写真がタイムリーに届くサービスとして設計されました。
その結果、保護者と先生のつながりが深まるだけでなく、保育現場が抱える課題を解決する効果が期待されています。今回は、老舗の文具メーカーが「保育×ICT領域」に挑んだ理由や想いについて迫りました。

目次
当社は創業100年を超える老舗の総合文具メーカーです。クレパス®を筆頭とした描画材料の製造・販売から始まり、教育・文化への貢献を社是に掲げた事業を展開しています。ものづくりの会社というイメージが強いと思いますが、2002年からは教育施設向けの通販事業も展開しており、新たな領域にもチャレンジしているのが特徴です。
現在、教育現場の環境は目まぐるしく変化しています。そのなかで当社が新たに注目したのは、保育現場の課題解決です。「子どもの成長を多方面からサポートすること」が会社のミッションに掲げられ、私は新規事業の立ち上げに参画することになりました。そして、その活動のなかで新たに生まれたサービスが、今回の取材テーマでもある「イロドキ®」です。
イロドキ®は「保育現場と家庭を写真でつなぐ」がコンセプトのフォトサービスです。園の先生方が撮影した子どもたちの写真を、アプリを通じて保護者に届ける仕組みになっています。運動会や遠足などの特別なときに限らず、子どもたちの日常的な様子もタイムリーに届けていきたいと考え、生まれたサービスです。

文具メーカーの当社にとってICT分野は新たな試みでしたが、子どもたちが描くためのモノを扱ってきた企業として、これからは描いている途中の姿や想いも届けていきたい。そんな想いをサービスに込めています。
ありがとうございます。実際、開発に向けた調査を進めていくと、我が子の日常的な様子をもっと見たいという想いは、多くの保護者に共通していることが判明しました。そして同時に、園の先生方にも共通する課題があることが見えてきたのです。
はい。実際に園の先生方に話を聞きに行ったところ、本業の保育に加えて他の業務をこなす必要もあり、とにかく業務負担が大きいという声が多くあがりました。子どもたちの様子を撮影・共有したい気持ちはあるものの、なかなか時間を割けないのが現状のようです。
最近はSNSを使って写真を公開する園も多いのですが、負担がかかることは変わらないため、本質の課題は解決できません。そして、先生の業務負担について保護者も理解しているので、無理強いできない……。そうした双方のジレンマを解消できる仕組みにできたら保育現場に新しい価値を提供できると考え、イロドキ®の設計を進めました。
イロドキ®専用のカメラアプリを開発しました。トライアルを重ねるなかで見えた課題は、写真のアップロードと選別する作業の業務負担が大きいということです。写真撮影はもちろん、手ブレなど判別できない写真の自動削除、さらにはアップロードまで一貫できるカメラアプリを開発して、写真共有の簡素化を叶えました。さらに、あえてコメントや会話機能をつけないシンプルな設計にして、先生の業務負担を増やさない工夫も施しています。
また、AIが子どもたちの顔を識別して、保護者には我が子が写っている写真のみが届く仕様にしました。その結果、先生のチェック作業が簡単になるだけではなく、大量にアップロードされた写真のなかから我が子の写真を探す手間がなくなり、保護者の負担軽減にもつながっています。

コメントや会話機能を設けていないため、そのような印象を持たれるのも無理はないと思います。しかし当社としては、コミュニケーションはできるだけ対面で楽しんでもらいたいと考えています。
コロナ禍では園の行事が中止となり、保護者と先生の距離が離れてしまう時期もありましたが、写真があれば会話のきっかけを作れます。また「この写真は何をしているときなの?」といった、我が子との会話も自然と広げていけるでしょう。イロドキ®はフォトサービスではありますが、写真はあくまでもきっかけにすぎず、当社はその先にある「子どもの成長をポジティブに捉え語り合う」オフラインのつながりを大切にしてほしいと考えています。
ICT分野への挑戦は慣れない取り組みでしたので、不安はありました。さまざまなアイデアが浮かぶのですが、それを実際にサービスとして形にできるのか。形にできたとしてもニーズがあるのか、自信を持てない時期があったのも事実です。
そこで当社は園を1日10件近く訪問して、イロドキ®のトライアル利用数を増やす活動に励みました。利用者からのリアルな声を集めて開発に反映していった結果、徐々に自分たちのサービスに手応えと自信を持てるようになったと感じます。

そうですね。とくに新サービスの開発においてはファクトを集めることが重要と学びました。実際に園にお邪魔して現場体験をさせていただいた際は、お散歩のときは子どもたちの安全が最優先なので写真は撮れないことや、先生方が撮影したいシーンは共通しているなどの気づきを得られました。数字を読み解くだけでは見えてこない、こうしたリアルな声を取りに行くことも、サービス開発において重要だと考えています。

先生方からは、日々の業務がスムーズになったという声を多くいただいています。なかでも印象に残っているエピソードは、保護者から「我が子が楽しんでいる様子を見ると、ここの保育園に通わせてよかったと思います」と声をかけられた先生がいるというものです。イロドキ®を通して、先生と保護者の双方に喜びを届けられたことを嬉しく感じています。
園で撮影された写真は、一昔前までは教室に掲示されたものを見に行き、購入したら終わりでした。しかしイロドキ®を活用すると、早ければ夕方までに写真が配信されるため、お迎え時に会話が生まれると聞いています。当初は機能面を前面に打ちだしていたイロドキ®ですが、改良を重ねていくなかで、園と保護者のつながりを深めるツールとしての立ち位置も確立できていると感じます。
子どもたち一人ひとりの“育ちの過程”に寄り添えるサービスを目指したいです。例えば、子どもがお絵描きをした場合、作品の出来が注目されがちですが、作る過程にこそ子どもの想いが乗っていると考えています。その想いを、写真を通して可視化できるサービスとして発展していけたら嬉しいです。
そのような活用方法もあると思います。そして何より、当社が可視化できる仕組みを提供することは、社会貢献につながるはずです。
子どもたちの様子を可視化できることで、より一人ひとりに寄り添った保育環境づくりのサポートができるようになります。製造・物販を生業としてきた企業として、子どもたちのニーズに合った教材を届けることは私たちの使命です。その積み重ねが、より質の高い保育を実現する未来につながると信じています。
サービスが溢れている時代ですが、現場に目を向けるとまだまだ多くの課題が残っていると感じます。また、幼少期の段階で適切な支援を提供することは、その後の成長に大きく影響することが明らかになっています。リアルな課題を突き止めていけたら保育業界や教育業界も伸びる余地のある市場だと思うので、イロドキ®もまだまだこれからのサービスですが、トライアンドエラーを繰り返しながら地道に取り組み続けることが重要だと考えています。

そして、新規サービスを立ち上げる際には、社内メンバーを巻き込むことも重要です。社員へのアンケートやインタビューを通じて共感の輪を広げていくことで、思いがけない形で開発を後押ししてくれることもあるので、仲間の存在を大切にしたいと思います。
デジタル時代において、保育現場を取り巻く課題を技術力で解決するのは、昔ほど難しいことではないのかもしれません。しかし、課題の解消だけを目的にしてしまえば、保育において大切にされるべき「人と人とのつながり」を薄れさせてしまうこともあるでしょう。
そのなかでイロドキ®が大切にしているのは、効率化の先にある“つながり”です。写真を通じて子どもたちの日常を共有し、そこから生まれる会話や気づきが保育現場と家庭のあいだのつながりを深くする。
その一つひとつの積み重ねが、保育の質を高め、結果として「Social&Fans(ビジネスを通して良い社会を創る)」につながっていくのだと感じました。
▼「保育を通じてより良い社会を創る事例をもっと学びたい!」そんな方はこちらの記事もおすすめです。
保育AIを中心としたテクノロジーで保育や子育てを変える。保育AIでユニファが導くこどもの幸せを育てる保育現場
取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作
コンサルに考えてもらって終わり…代理店に丸投げ…になっていませんか?今の時代、「クリエイティブPM」の推進が欠かせません。この記事では、クリエイティブPMの役割と、その不在がもたらすリスクを解説します。
Igarashi
マーケ目線と広報目線を双方取り入れることで、企業のストーリーが"共感"となり、"応援"となって返ってくる。その循環をどう生み出すのか?今回は、40年のPR実績を持つ三上毅一さんに、広報のプロ目線からマーケ×広報の新しい関係と実践のヒントを伺いました。
Igarashi
従業員だけでなく、採用候補者・従業員の家族など組織に関わるあらゆる人の体験を意味する「People Experience」の概念とは?顧客体験を起点に企業変革を前進させるデザインカンパニー『グッドパッチ』の、従業員との熱狂が生まれる“熱源”について迫ります!
Takanashi