ソーシャルリクルーティング完全ガイド:採用成功のための戦略から最新事例を解説|具体的な導入方法も
Matsui
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こんにちは、&Fans ライターのマツイです。
「優秀な人材を採用したいけれど、なかなか応募が集まらない…」
「応募者を増やすにはどうしたらいいの?」
など採用活動に悩みを感じている人事担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか?
採用難が続く昨今、従来の手法に頼るだけでは競合他社との差別化が難しく、理想の人材と出会えるハードルが高まっています。
そこでいま注目されているのが「ソーシャルリクルーティング」です。
この記事では、10年にわたり人事を担当している私がソーシャルリクルーティングを徹底的に解説します!基礎知識からメリット・デメリット、運用ポイントなど採用活動を成功に導くためのヒントを詰め込みました。
目次
ソーシャルリクルーティングとは?
ソーシャルリクルーティング=SNSを活用した採用
ソーシャルリクルーティングとは、X(旧Twitter)やInstagramなどのSNSを使った採用手法で、「SNS採用」とも呼ばれます。
これまでの採用活動は多くが求人情報を掲出して応募を待つスタイル。
ソーシャルリクルーティングは求人情報に加え、積極的な情報発信でお互いの距離を縮めます。
なぜ今注目?ソーシャルリクルーティングが広がる理由
SNSは採用ツールとしても広がりつつあります。
東海ビジネスサービスの調査によると、企業の約60%がSNSで採用活動を行っています(2023年)。
また総務省の発表では、日本のソーシャルメディア利用者数は2027年には1億1,300万人に増加すると予測されています。
さらなるユーザーの増加とともに、ソーシャルリクルーティングは今後さらに活発化しそうです。SNSでのアプローチは気軽さやスピード感だけでなく、求職者・企業どちらにも以下のメリットをもたらします。
【求職者】
・普段のSNSチェックで企業の情報を収集できる
・身構えずに「いいね」やコメントなどアクションができる
・気になったら直接コンタクトがとれる
・求人広告やサイトでは見えにくい企業の日常や雰囲気が分かる
【企業】
・広告費用をかけずに多くの人へアプローチが可能
・認知度向上、ブランディングにつながる
・投稿が「バズる」と一気に拡散される
・気になる求職者がいれば、人となりをのぞいたり直接スカウトもできる
ちなみにソーシャルリクルーティングが日本ではじまったのは2009年と言われています。
きっかけを作ったのは、アイティメディア株式会社です。
採用活動にTwitterを取り入れ、各企業から注目を浴びました。その後Facebookが大手人材バンクと提携し新卒採用に協力するなど、ソーシャルリクルーティングは次第に加速。現在のソーシャルリクルーティングの基礎を作っていきました。
ダイレクトリクルーティングとの違い
ダイレクトリクルーティングとは、文字通り求職者に直接コンタクトを取る採用手法です。ソーシャルリクルーティングもSNSで求職者にアプローチするため、ダイレクトリクルーティングの一種と言えますね。
ですがダイレクトリクルーティングは、企業が自社と相性のよさそうな求職者を探してアプローチする必要があります。求人サイトのスカウトメールはその最たる例。採用に向けて最短距離で攻めるアプローチです。
一方、ソーシャルリクルーティングは時間をかけてファン(=応募者)を増やしていく点に違いがあります。
企業と求職者のミスマッチを防ぐ点からも、ソーシャルリクルーティングは非常に有効な手段です。
ソーシャルリクルーティングのメリット
ソーシャルリクルーティングには、多くの求職者とファンを獲得する可能性があります。適切に運用すれば、以下のメリットが得られます!
採用コストの削減
求人広告や人材紹介窓口を介しての採用には、数万円から数百万円ほどの費用がかかります。SNSを活用すれば運用のコストはかかりますが、プラットフォームは大半が無料で使用できます。
初期費用を抑えたいスタートアップ企業や、中小企業にとってはうれしいメリットですね!
自社にマッチした人材を獲得できる
SNSでは自社の魅力をいつでも自由に発信できます。求人案内に限らず店舗やオフィス内の写真、商品紹介、全社での取り組みなどを投稿するのもいいでしょう。
求職者は企業の投稿を見てコメントや「いいね」でリアクションします。リアクションに対して返信したり、「いいね」をお返ししたりと個別に接点を持てるのはSNSならでは。
「この企業をもっと知りたい」などポジティブな感情につながる可能性が高くなります。
自社の特徴やカルチャーを理解した応募者が増えると、ミスマッチの可能性は大幅に低下します。
幅広い人材へのアプローチ
自社の投稿が拡散されると、所在地や知名度に関係なく多くの求職者にアプローチできる可能性が広がります。これはいままで届かなかった・出会えなかった優秀な人材とコミュニケーションが取れる大きなチャンスです!
ソーシャルリクルーティングのデメリット
ソーシャルリクルーティングは多くのメリットをもたらしますが、同時にデメリットも存在します。採用を成功させるためにはメリットとデメリットを正しく理解し、SNSを適切に運用する必要があります。
不適切投稿による炎上リスク
不適切な言葉づかいや情報発信によって、企業イメージが大きく損なわれる場合があります。いわゆる「炎上」です。
マイナスのイメージが一度拡散されてしまうと、簡単には止められません。
ガイドラインを作成する、複数の目でチェックするなどあらかじめルールを決めておきましょう。
効果が出るまで時間がかかる
SNSは情報発信によって幅広いユーザーにアプローチするツールです。投稿を積み上げてファン(=未来の応募者)を増やしていくため、中長期的な採用計画に向いています。そのため早期採用を狙う場合には不向きです。
定期的な投稿が必須
SNS運用には定期的な投稿が必要です。アカウントを開設しても放置すればファンは増えません。SNSを使うと決めたのであれば、しっかり投稿・更新しましょう。
投稿頻度が低いとファンの期待値は下がり、消極的な印象にもつながります。
おすすめSNS7選とその特徴
ソーシャルリクルーティングを効果的に行うため、それぞれのプラットフォームの特性を理解しておきましょう。すべてのプラットフォームを活用する必要はないので、自社にあうものを選択するのがベストです!
X(旧Twitter):幅広い層にイベントや採用情報をリアルタイムで届けたい場合に◎
- 日本国内の月間アクティブユーザー数は約6658万人(2023年時点)と最大規模
- 「いいね」や「リツイート」で他ユーザーと手軽に交流可能
- ハッシュタグ検索あり
Instagram:写真やデザインが得意で、企業文化や職場の雰囲気を視覚で伝えたい企業向き
- 画像や短い動画の投稿に適したプラットフォーム
- 視覚的に訴える面が強く、自社商品の紹介やオフィスの雰囲気、社員の姿を伝えやすい
- X同様にハッシュタグ検索あり
YouTube:社員インタビューや職場紹介など動画をメインに考えている企業向き
- 動画や音楽を投稿し、多くの人と共有可能
- 配信者と視聴者がリアルタイムで交流するライブ配信も人気
- 文章や画像に比べ、一度にたくさんの情報を伝えやすい
- 作成には専門知識やコストがかかるが、さまざまなシーンで活用可
TikTok:「仕事のあるある」などエンタメ要素で親近感をアピールしたい企業向き
- 短い動画に特化。アプリの機能を使って誰でも撮影から編集、投稿まで可能
- 特にZ世代に人気で、エンタメ性が高い
- 新卒採用・第二新卒採用など若年層の採用向き
Facebook:実名式の強みを生かした信頼性の高いやりとりをしたい企業向き
- 幅広い年齢層に利用されている実名式SNS
- 名前や性別のほか、出身地や学歴など個人のプロフィールを掲載可能
- 旧友との交流だけでなく、ビジネスでのつながりを求めて利用する人も多い
- 面識がある人同士がつながるケースが多いため、リファラル採用(自社のスタッフなどからの紹介採用)も期待できる
LinkedIn:グローバルに採用活動を展開したい、高スキルの専門職を探したい企業向き
- 2003年にアメリカで誕生した世界最大級のビジネスパーソン向けSNS
- 転職活動や人材紹介での利用も多く、日本でも注目されている
- 外国籍スタッフの獲得を視野に入れているときには、特に注目したいプラットフォーム
ブログ:企業の詳細な情報や取り組みを深掘りして伝えたい企業向き
- ある程度の文章量で毎回情報を発信したい場合におすすめ
- テキスト・画像・動画と掲載の自由度が高く、オリジナリティをアピールできる
- 現在ではブログ作成サービスも多様化し、無料で利用できる場合も多い
- 採用サイトの記事ページや、noteやNotionなどのプラットフォームを活用するのもひとつの手
ソーシャルリクルーティング成功の4ステップ
ステップ1:採用目標の設定
ソーシャルリクルーティングを始める前に、具体的な採用目標を設定しましょう。漠然とした目標ではピントがずれてしまったり、ぼんやりとした採用活動になりがちです。以下を中心に目標を設定すると、ビジョン化しやすいと思います。
目標を設定する際には、数値目標を立てましょう。進捗状況を客観的に評価するのに役立ちますし、必要に応じて戦略を修正できます。
目標達成度を測定するためのKPI(達成度を数字で具体的に評価する指標)を設定しておくと、効果測定がより楽になります!
ステップ2:プラットフォームの選定
ステップ1で導き出したターゲット属性に基づき、最適なプラットフォームを選択します。「無理せず続けていけるか」も重要なポイントです。
例えばターゲットからTikTokを選択した場合、
- どんな動画にするか
- 誰が出演するか
- 誰が撮影・編集するか
- どこで撮影するか
- いつ撮影するか
など、いくつか考えるべきポイントが出てきます。
ターゲットにマッチする点も重要ですが、長続きするコツは「運用しやすさ」にあります。
ステップ3:コンテンツ・運用ルール作成
人の目に留まるには、魅力的なコンテンツを作成する必要があります。単なる求人情報だけでなく、自社の魅力やカルチャー、扱う商品、スタッフの声などを届けましょう。
コンテンツを作成する際に、運用ルールも決めておきましょう。
担当者や投稿の頻度、時間帯等の具体的な内容・手順のほか、
- 文章のトーン&マナー(文体のテンションは親しみやすい感じ?落ち着いた感じ?)
- 返信はどうする?(すべてのコメントに返信?「いいね」だけ?)
- 投稿前のチェックフロー(炎上を防ぐため、複数の視点でチェックするフロー構築)
なども決めておくと、運用開始後に慌てずにすみます。
ステップ4:効果測定と改善
投稿を続けても、なかなか効果が実感しにくいときもあります。こまめに効果測定し、内容や投稿時間をブラッシュアップしていきましょう。
改善案が浮かばないときには、投稿が伸びている企業のSNSをチェックして人気の秘密を探ってみましょう。「なぜウケているのか」「なぜ自分はこの投稿に惹かれたんだろう」と考えてみると、ヒントが見つかるかもしれません。
★効果測定と改善にはこちらもおすすめ★
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ソーシャルリクルーティングの成功事例3選
事例1:株式会社サンワ(TikTok)
愛知県安城市に本社を置く物流・ロジスティクスの会社。若年層トラックドライバーの採用を目指し、TikTok運用を開始しました。ドライバーへの質問やチャレンジ動画など印象に残る動画投稿を重ね、開始3ヶ月で平均1~2万回再生を達成。
この「&Fans」を運営するrayout株式会社が施策提案など併走しました。
事例2:ニトリ株式会社(Instagram)
家具や生活用品に家電と幅広く取り扱う製造物流小売業のニトリ株式会社。Instagramを積極的に活用し、新卒採用に成功しています。会社の空気感やスタッフの人柄をビジュアルで分かりやすく表現。イメージ醸成に役立つ情報が多く投稿されています。
ニトリ新卒採用公式|キャリア支援 (@nitorishinsotsu)
https://www.instagram.com/nitorishinsotsu
事例3:株式会社テレビ東京(X)
テレビ東京はXで採用に関する最新情報をタイムリーに発信。求人情報のほか、インターンシップ情報や応募締切などを投稿しています。エントリーシートの書き方アドバイスなども行なっており、就活生にうれしいコンテンツが揃っています。
まとめ:ソーシャルリクルーティングで採用活動を成功させよう!
ソーシャルリクルーティングには多くのメリットがあります。投稿を続けるうちに、ファンが増えていく喜びも芽生えるでしょう。しかし一方で炎上リスクなど、マイナス面も存在するのが怖いところです。
ソーシャルリクルーティングの成功には、継続的なSNS運用が不可欠です。未来の同僚になりうる人のニーズに寄り添いつつ、その企業独自の発信を続けることが、信頼を生む鍵となります。
社内外にアンテナを張り、投稿のネタを探し、文章や写真を用意し、効果を測定して……運用担当者の仕事はたくさんあります。フォロワーの増減に一喜一憂したり、なかなか効果が見えず心が折れそうになるときもしばしば。
それでも積み重ねた投稿には「らしさ」が生まれるはずです。それは競合他社との差別化になり、いつか実を結ぶに違いありません。
SNSを使った採用活動が成功するよう願っています!
……
&Fans を運営する rayout 株式会社ではSNS運用代行を行なっています。何からはじめたらいいかわからない、開店休業中のアカウントを活用したい…など、さまざまなお悩みを解消いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
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