誠実なひと手間が、デジタル社会だからこその共感を呼ぶ。敏感肌向けブランド・olioのファンづくりとは

Takanashi

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情報があふれる現代。「何を買うか」よりも「誰から買うか」が重要視されつつありますが、自分たちの言葉だけで“信頼”を得るのは難しい……そう感じている方も多いのではないでしょうか?

こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。

今回は、国産・ナチュラル・品質を柱にする化粧品メーカー「合同会社olio」の代表社員である布施さんに話を伺いました。

世の中に多く存在する、敏感肌向けの化粧品。パッケージや広告に「成分」「効能」を記して信頼性を訴えかけるブランドが多いなか、合同会社olioは、お肌の弱い布施さん自身が検証・開発、さらには販売まで行う“顔の見える”ブランドを貫いています。

その結果、製品やブランドに熱狂するリピーター(=ファン)が次々と生まれる結果に……!敏感肌向けというデリケートな領域において信頼を集めつづける、合同会社olioのファンマーケティングについて深掘りします。

目次

“実体験”があるから叶えられる、ファンベースなものづくり

ーまずは、合同会社olioについて教えてください。

当社は、2023年の1月に設立したばかりの化粧品メーカーです。「肌が弱くても安心して使い続けられる化粧品」を軸に、塩石けんと茶の実から生まれた保湿用オイルを販売しています。

合同会社olio公式HP:https://o-olio.shop-pro.jp/

ファブレス*企業のため、製造工程だけ外部に委託していますが、処方開発や原料調達、品質管理などはすべて自社で行っています。自社商品の販売がメインですが、薬機法に悩まれているお客さまの相談にのったり、輸入化粧品の申請代行を担ったりする薬事コンサルティングも行っており、化粧品を軸に幅広い事業に取り組んでいる会社です。

*ファブレス:自社で工場を持たずに、製造は外部に委託するビジネスモデルのこと。製品の企画・設計・開発に特化できる特徴を持つ

ーありがとうございます。肌に優しい化粧品は世の中に多く存在しますが、御社ならではのこだわりは何でしょうか?

とにかく、品質へのこだわりを徹底しています。たとえば、原産地まで足を運んで茶畑の環境を見たり、製造や輸送、工場での保管状況を確認したり……。品質管理業務やオーガニック認証の監査担当をしていた経験を活かして、すべて自分の目で確認すること、改善したいところがあればしっかり現場の方に伝えることを大切にしています。

オイルに使用する茶の実の産地(静岡)に足を運ぶ布施さん

私たちが使用する原料はすべて天然素材のため、とてもデリケートなんです。たとえば保湿用オイルは、日光に当たると酸化が進み、香りが悪くなったり、色が抜けてしまったりする恐れがあります。また、プラスチック容器を使うとエッセンシャルオイルが容器を溶かしてしまうリスクもあるため、あえて瓶容器を採用しています。肌につけたときに刺激物にならないことを徹底し、品質管理には細心の注意を払っていますね。私自身、幼少期にアトピー性皮膚炎を患い、現在も敏感肌なので、「本当に安心して使えるのか」「継続して使い続けられるのか」という点は、特に意識しているところです。

【製品開発のこだわりに関する記事はこちら】https://connect.bigadvance.jp/boast/324/

ーご自身もお肌に悩んでいるからこそ、ファン(消費者)ベースの商品開発に強いこだわりを持っているのですね。

そうですね。自分自身で確認する化粧品づくりを大事にしているので、原料の段階で肌に乗せて問題ないか、試用したときの伸びの良さや肌なじみ、日光に当てたときに刺激が起きないかなど、すべて自分の肌で確認するようにしています。ただ、自分の肌で試すだけでは安心できないので、取引先の方に試してもらうこともありますね。使ってもらった結果「問題なかったです」という言葉をいただけたら、品質面は合格としています。

接客こそ開発の一部。olioがファンを生む接客スタイルとは?

ーolioの製品は、社長である布施さんご自身が研究開発、そして販売まで行っていると伺いました。

そうですね。私自身ずっと研究開発に従事してきた者なので、表に出る機会はほとんど経験してこなかったのですが、今ではお客さまへの販売業務も担当しています。

ー化粧品メーカーとしては、珍しいことだと感じます。布施さん自身が販売まで担当されているのには何か理由があるのでしょうか?

お客さまの“生の声”は商品開発において重要な意見になるからです。どんなニーズがあるのか、どんな肌悩みを持っているのか、普段はどんなスキンケアをしているのか……。これらの一次情報を収集をできるのは接客シーンだけだと思っているので、自分自身で販売を行っています。

ー品質へのこだわりを徹底されているからこその行動ですね。お客さまとのやり取りで意識していることはありますか?

メーカーの人間として押しつけるのではなく、自分自身も肌悩みを抱えている人間として、お客さまに共感・寄り添いながら話を聞くことを意識しています。私はolioの化粧品を押し売りしたいわけではなく、肌悩みを抱えている方が今より少しでも良い状態になってほしいという思いがあって接客しています。

ー「押し売りしたいわけではない」という言葉に、リピーター(=ファン)が絶えない理由が詰まっていると感じます。

肌トラブルについてアドバイスするのは、お医者さまの仕事だと思っています。私たちの仕事は、お客さまの話に共感・寄り添い、マイナスの状態から少しでもゼロに近づけてあげることです。押し売りするのではなく、お手持ちの化粧品にプラスワンする提案を行うと、お客さまに抵抗感を与えることなく、olioの化粧品を試してもらえます。

デジタル社会の今こそ大事にしたい。人から人へと広がる口コミの力

ーリピーター(=ファン)が絶えないのは、押し売りせずに共感・寄り添う姿勢が評価されているからだとお考えですか?

それも理由の1つだと思いますが、実は取引先の方々がolioの化粧品を積極的に宣伝してくださることで、ファンづくりやリピーターの獲得につながるケースが多いんです。

ー意図せず、ファンマーケティングが生まれているんですね。

先述したとおり、当社の製品は私の肌で試すだけでなく、取引先の方々に試してもらうことも大事にしています。取引先の皆さんがそれぞれ抱えている肌悩みに対して、olioの化粧品をどのように使えば効果的かを自ら模索して、その実体験を「こんなふうに使ったら良かったよ!」とお客さまに伝えてくださるんです。そのリアルな声にはかなり説得力があるため、結果的にリピーターの獲得につながっているのだと思います。

ー「第三者からの口コミは信憑性が増す」ということを裏づける、すてきなエピソードですね!SNSを活用したら、さらに口コミも広がりそうですが……

消費者の方が「使って良かった」「こんな効果があった」とSNS上で発信するのは良いのですが、私のようなメーカーの者が「お客さまからこんな効果の声をいただきました」という内容を投稿するのは、薬機法の関係で難しいんです。時代に反していることは分かっていますし、周りからも「昔ながらの靴底を擦り減らすような営業方法だ」とは言われますが(笑)、私たちは人伝いに口コミが広まっていくスタイルを理想としています。

ーそのような口コミマーケティングを目指すなかで心がけていることはありますか?

グレーではなく、白の追求を心がけています。薬機法に完全に反しなければ良く(=黒)、グレーなら問題ないと考えている会社は世の中に多く存在します。しかし、私たちは白であることを意識しています。グレーな商品だと、消費者の皆さまも「この表現は大丈夫なの?」「この商品は本当に安全なの?」という視点で見てしまうので、ブランドに対して不安感を抱いてしまうはずです。とにかくクリアさを大事にして、販売時の文言はもちろん、他社さんが取らないようなエビデンスまで取ることで、目にみえる安心感をお伝えするよう努めています。

嘘のない言葉と品質が、未来を育てる。olioのまっすぐな挑戦

ー情報にあふれ、何を信じたら良いか分からない現代。そのなかで“クリアさ”にこだわる御社の姿勢に励まされる読者が多くいそうです。

ありがとうございます。現在、新たに消臭・除菌スプレーを開発しているのですが、消臭と謳う以上、お部屋や汗、タバコの臭いなど、特定の臭い成分に対して1つでも納得できない結果が出てしまうなら、商品化はしたくないんです。その分、ひとつひとつの商品開発に時間はかかってしまうのですが、譲れないこだわりでもあります。

ー強いこだわりを持ちつづけることは簡単ではないはずです。布施さんがここまで商品づくりに“熱狂”できるのはなぜでしょうか?

とてもシンプルですが、ものづくりが好きだからです。私たちは、日本だけでなく海外にも商品を展開していきたいと考えています。そのとき、自分たちの製品が「ものづくりの国・日本」の恥にならないように、そして世界に日本の技術や品質の素晴らしさを示せるように、プライドを持って商品開発・販売に取り組んでいます。

現在、olioの社員は私を含めて2名しかいませんが、自分の言葉で商品の魅力をしっかり伝えたい思いがあるので、新たにスタッフを雇うことなく頑張っています。開発者自身が営業に出るのはなかなか異質ですねと言われますが(笑)、ファンの皆さまにも商品やブランドへの熱量がストレートに伝わりやすいと思っています。

ーファンが生まれる秘訣は、布施さんの熱意がしっかり伝わっているからこそだと感じました。最後に、ファンベースなものづくりを目指している企業に向けて一言お願いします!

私たちが会社の理念として掲げている言葉は「未来につながる品質を」です。言葉のとおり、当社の製品を使ってくださる方、関わってくださるすべての方の未来が、少しでも良い方向に進んでほしいという思いを込めて、化粧品づくりに向き合っています。この記事を読んでくださったことで、新たな気づきが生まれたり、次につながる良い結果が生まれたりして、その方や会社の未来がより良いものになると嬉しいです。

取材を終えて

今回の取材現場には、olioの化粧品(塩石けんと保湿用オイル)を持参してくださいました。商品に対する質問を投げかけるたび、期待以上の答えを返してくださる布施さん。その姿からは製品への愛がひしひしと伝わってきて、リピーター(=ファン)が絶えない理由に思わず納得してしまいました。

資料を用いて、説明してくださる布施さん

「靴底をすり減らす営業方法だと言われますが……」とおっしゃっていましたが、ネット上に情報があふれて何を信じれば良いのか分からない現代だからこそ、社長であり開発者でもあるご本人が直接足を運び、自分の言葉で伝えることが信頼を生みだす秘訣だと感じました。

時代が変わっても、ファンに愛されるブランドの土台は「誠実」であり、「実直」であること。奇をてらうのではなく、基本を大切にすることの重要性を改めて気づかせてもらったように感じます。

今回の取材記事をきっかけに、多くの方に「合同会社olio」の魅力、そして「布施さん」の想いが伝わり、一人でも多くのファンが増えることを願っております。

取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作

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