持続可能な社会を、正義感と誠実さで。再生可能エネルギーにかける、Looopの情熱

Shibashi

Shibashi

こんにちは、&Fansライターの椎橋です。

&Fansでは、熱狂を生む企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。

再生可能エネルギーの普及をミッションに掲げ、太陽光発電システムの開発や電力小売事業を展開する株式会社Looop。電力小売事業「Looopでんき」は約34万件の契約数を誇り、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを加速させています。発電から供給まで一貫したビジネスモデルを持つLooopは、どのように持続可能なエネルギーの未来をつくろうとしているのか。執行役員 電力本部 本部長 小川朋之さんに、その戦略と挑戦について伺います。

目次

エネルギーフリー社会が実現すれば、理想の未来をつくれる

-はじめに、株式会社Looopの事業についてお教えください。

私たちLooopは、再生可能エネルギーの普及を目指すエネルギーサービス事業を行っています。

「エネルギーフリー社会の実現」をビジョンに掲げ、エネルギーを自由に使い、新しい価値を創造し発揮することで、持続的な豊かさを実現できる社会の実現を目指しています。具体的には、再生可能エネルギーのニーズを引き起こすために再生可能エネルギー事業から電力小売事業、それぞれにまたがるエネルギーマネジメント技術の分野といった幅広い分野で活動しています。

-創業のいきさつについて教えていただけますか。

2011年3月11日に起きた、東日本大震災での経験が創業につながりました。当時、創業者の中村 創一郞は、レアメタルトレーダー*として活躍していました。彼はビジネスで得た人脈によって、中国の顧客からソーラーパネルを譲り受けます。このソーラーパネルを被災地に設置し、電力問題を解決するボランティア活動を行っている中で、電気があることの喜びを目の当たりにしました。そこから再生可能エネルギーに大きな力を感じ、2011年4月4日に事業を立ち上げました。

*レアメタルトレーダー:レアメタルの供給や取引を行う人。レアメタルは、埋蔵量が少ないか、技術やコストの面から抽出が難しい金属の総称で、電子機器やエネルギー関連の技術に幅広く使用されている

-震災から1ヶ月も経っていない! ものすごい行動力ですね。

創業者の中村の心には「全方向に無限大でありたい」という考えが常にあったんです。

震災によって感じた再生可能エネルギーの力を、世界中に最大限に普及させたい。そんな強いパッションが「株式会社Looop」を瞬く間に築きあげていきました。

その後、2015年頃には「エネルギーフリー社会の実現」というビジョンを掲げるようになります。エネルギーが無尽蔵に使える世界になれば、海水から真水を生み出すことや、砂漠で植物を育てるといった、様々なイノベーションを生み出せるはずだと考えたのです。この無限大に広がる革新を、Looopは常に意識しながら実現に向けて日々邁進しています。

世界平和を願う少年がたどり着いたLooopという誠実な組織

-小川さんは遊技機のメーカーや、保険業界、IT業界など様々な場所でキャリアを積まれていたそうですが、Looopへの入社を決めたきっかけは何だったのでしょうか。

最初のキャリアは、父親と共に遊技機メーカーを立ち上げるところから始まりました。しかし国の厳しい規制や業界の荒波にもまれ、うまく立ちゆかない状況になってしまいました。その後、様々な業界で働いていたのですが、どうにも自分の目指す「正義感」と仕事がうまく結びつかなくて。

-「正義感」とは具体的にどういったものでしょうか。

私は出身が広島なので、原爆によって生まれた悲惨な出来事や、戦争に対する平和学習がとても身近にありました。そのため、物心がついた頃には神社仏閣に立ち寄れば「世界が平和になりますように」と願っていたんです。

-平和であれ、という「正義感」が幼少から根付いていたのですね。

そのため、社会人になって働いていく上でも「この仕事は世界のためになるのか」「人々を幸せにすることができているのか」という意識や葛藤が常にありました。

世界に平和をもたらせる仕事はないだろうか、そんな気持ちを抱きながら転職活動をしていた時、株式会社Looopに出会いました。

Looopのことを知れば知るほど、この会社はエネルギーによる課題を真剣に解決しようとしているということがわかっていきました。

戦争はしばしば、エネルギー問題を背景に起こっています。Looopのエネルギーフリー社会を実現させる行為は、かつて自分が願った「世界平和」につながると感じ、この会社で働きたい! と思ったんです。

「エネルギーフリー社会の実現」を目指す中で集まる「正義感」ある仲間たち

-「世界平和」に直結する働きができるLooopですが、採用で意識をしていることはありますか。

私たちは、常に「エネルギーフリー社会の実現」というビジョンを共有しており、それが社員ひとりひとりの行動の原動力になっています。

再生可能エネルギーに対する一定の知識や関心を持っていることはもちろんですが、何よりも、ビジョンに向けて共に挑戦できる情熱のある方を求めています。掲げている課題が平和的思考の延長にあるからでしょうか、多くの社員が情熱的であり誠実です。

-海外にも支社を持ち、グローバルな人材も受け入れている中で、文化の違いによる摩擦などはありませんか。

ほとんどありませんね。ひとりひとりが目標に向かってお互いを尊重し、真面目に仕事に取り組んでいるからだと思います。

それから、年齢や役職に関係なく、誰もが自由に意見を言い合える風通しの良さも、お互いを刺激し合ったり、理解し合える環境づくりにつながっているように感じます。

-ひとりひとりの多角的な視点を大切にし、組織を成長させているのですね。

私たちは発電、電力コントロール、販売というエネルギー供給に必要な機能をワンストップで提供しています。業務を円滑にこなしていくには、様々なスキルを持った人材が必要です。多様な人材が集まることで、互いの価値観を尊重し、新たな発想が生まれることを期待しています。

タイムライン

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Looopでは「つくる・コントロールする・届ける」を掲げ、電力における全プロセスをまかなっている。

-独自の電力「Looopでんき」による料金プラン「スマートタイムONE」は、2023年にグッドデザイン賞を受賞したそうですね。どのようなサービスなのでしょうか。

「スマートタイムONE」は、市場価格に連動して30分ごとに変動する料金単価に注目したシステムです。

再生可能エネルギーの発電量は一定ではありません。太陽光は昼間の時間帯に発電量が多くなり、夕方から早朝にかけては少なくなります。

この電力供給の変動を利用し、発電量が多い時間帯に電力を使うことを促したり、発電量が少ない時間帯には節電を意識させるよう働きかける仕組みを取り入れました。

電力料金の単価が安い時間帯に電気を使用する、といった「ピークシフト」を行うことで、電気料金の価格を抑えることが可能になります。

ロゴ

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-どの時間帯の電力が安いのか、高いのか、判別するのは難しそうです。どのように可視化させているのでしょう。

「スマートタイムONE」と連動している「Looopでんき公式モバイルアプリ」を利用していただければひと目で現状の電気の単価を把握することが出来ます。

グラフィカル ユーザー インターフェイス, アプリケーション

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アプリ内にある機能のひとつ「でんき予報」では、現在の電気単価が表示されることに加え、これからどのように変動していくかも予測できる。

-これだったら簡単に把握できますね。

プラン開発当初から「お客様に高い時間帯と安い時間帯をハッキリと教えなければ、行動変容は生まれない」という声が上がり、とにかく分かりやすく、見やすいものを目指して開発しました。

-このアプリはユーザーから開発チームにコメントも送れるんですね。

開発側からも、お客さまにメッセージを送ることができます。お客さまからのフィードバックはすぐに取り入れ、常にアップデートを重ねています。

-双方のやりとりが気軽に出来るのはエンゲージメントの向上にもつながりそうですね。開発者の方の似顔絵もとてもかわいらしいです。

この似顔絵、ものすごくそっくりなんですよ。社外の方が打合せで来社された際に「あの人だ!」と声を上げるほど。

開発者の顔を認識していただけると、お客さまとの距離が縮まり、意見交換も親しみを持って気軽に行っていただけます。

実際に改善要望を伝えてくださる方も多くいらっしゃいます。

テーブルに置かれた携帯電話

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誠実さが導いた、公平で透明なリニューアル

-「※スマートタイムONE」は、2025年4月にリニューアルしたそうですね。 ※「スマートタイムONE(電灯)」のプランが変更。

これまでは業界初の「基本料金ゼロ円」というプランを提供してきましたが、今回のリニューアルでは、新たに「制度対応費」という形で原価分をいただくようになりました。

-以前の「基本料金ゼロ円」というのは、非常にインパクトがありましたが、なぜ改変したのでしょうか。

基本料金がゼロ円というのは、多くの方々に認知をしていただくきっかけとなったサービスで、言わば看板商品でした。契約電力にかかる基本料金がない分、電気をあまり使わないお客さまの分を、たくさん使うお客さまに負担していただく形になっていました。これは公平性に欠ける大きな問題でした。また、制度対応費がお客さまから見えにくく、料金の内訳が不透明でした。

そこで、今回のリニューアルでは「使った分だけ支払う」という透明性の高い料金形態へ見直し、公平性を高めることに注力しました。

-制度対応費の負担を利用者間で公平にすることで、使用電力が少ない利用者は料金が上がる場合もあるかと思いますが、ユーザーからの反響はいかがでしたか?

リニューアルによって、ある程度の離脱は覚悟していました。しかし、ほとんどのお客様にご理解いただき、変わらずご愛顧いただいております。

-Looopの皆さんの誠実さが、ユーザーにもしっかり伝わっている証拠ですね。

私たちは、お客さまに対して常に誠実でありたいと考えています。「でんき予報」を提供したり、解約手数料をゼロ円にするのも、お客さまに安心してサービスを利用していただきたいからです。

-その真心が「エネルギーフリー社会の実現」につながっていくのですね。

人, 携帯電話, テーブル, 電話 が含まれている画像

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-今後、Looopは「エネルギーフリー社会」の実現に向けて、世界でどのような役割を果たしていきたいとお考えですか? 

地球温暖化対策はもちろんのこと、エネルギーをめぐる争いをなくしたいという思いも強くあります。そのためにも、日本国内のエネルギー自給率を高め、再生可能エネルギーを普及させていくことが重要になってくると考えています。

中標津太陽光発電所

Looopは国内でのエネルギー自給率を上げるため、再生可能エネルギーの発電所拡大にも力を入れている。

現在私たちが行っているような、電力調整力を注視した活動を続けていくことが問題解決につながっていくと思います。

発電量を増やすだけでなく、調整力を高め、電気需要をコントロールしたり、エネルギーをマネジメントすることを、この先も続けていきます。

目標をぶれさせず、実直に。目の前にある課題をひとつひとつ解決していくことで「エネルギーフリー社会の実現」を果たしていきたいですね。

取材を終えて

温暖化が激しく進んでいるという自覚はあるものの、こらえきれずにエアコンをガンガン使っては電気代に頭を抱える日々。対策をしたいけれどなにから始めたら良いのかわからない、といった方はたくさんいるのではないでしょうか。

株式会社Looopは、ユーザーにお得なサービスを提供しながら、再生可能エネルギーに対する意識付けまでしっかりと定着させています。地球にも、ユーザーにも真摯でありたいという思いが、お話を伺っているなかでひしひしと感じられました。

私ひとりの意識がひいては戦争や環境破壊を防ぐ力になるのかもしれない。その可能性を胸に抱きながら「Looopでんき」の申し込みを(すごく簡単!)したのでした。

取材・執筆:椎橋萌美

編集:神谷周作

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