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Takanashi
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こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。
&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリーや、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は、設置型の健康社食サービスを提供している「株式会社KOMPEITO」の代表取締役である渡邉さんに話を伺いました。
主力サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」は、オフィスに専用の冷蔵庫(冷凍庫)を設置すると、新鮮なサラダやフルーツ、惣菜などが定期的に届き、それらを1品100円〜購入できるという福利厚生サービスです。
その他「OFFICE DE MEDIA(オフィスでメディア)」や「SALAD STAND(サラダスタンド)」など、農業を起点としたサービスを展開しています。
サービスの累計導入数は15,000拠点以上、継続率はなんと98.4%!
そんなファンの絶えないサービスが生み出された背景について迫ります。
目次
ある社長からアドバイスいただいたのがきっかけです。
当社は、創業した2012年から「OFFICE DE YASAI」を実施していたわけではなく、野菜を産地直送するECサービスの立ち上げから始まり、八百屋経営にも挑戦していました。
八百屋は流通の大元なので、シンプルなビジネスモデルを理解すれば原理・原則を理解できて、業界の課題をより肌で感じられると思って始めたのですが……。
なかなかうまくいかず、一日の売上額は1万円いくかどうかでしたね。
売れ残った野菜を知人の会社へ持ち込んで買ってもらっていたところ、ある社長に「サラダバーみたいに、その場で野菜を食べられるようにしたらいいんじゃないか」とアドバイスいただきました。
ないない、全然なかったですよ(笑)
ただ、アドバイスをくれた社長が、他の社長にも話してくれたところ「それ面白いね!」と言ってくれたようで。
活躍している社長たちが面白いと言ってくれているのなら、今までよりは確度の高い取り組みができるんじゃないかとは思いました。
お金を稼いで自分の身を良くしたいのであれば、給料も悪くないコンサルの仕事をやっていたら良かったと思います。
でも、そうじゃなくて。
世の中が“変わる”とか“より前に進む”ような事業をしたいと思ったんです。
生産者は販路に困っているけど、野菜の流通経路は変わり映えのない旧態依然のモデルのままである状況に、何か入り込めたら面白いだろうと思いました。
ここで言う“面白い”は、農業界が活性化すると地域・地方が活性化するんじゃないかという意味です。
農業はマーケットが大きいし、自分の経験やアイディア、知恵が活かせるので、地域・地方が盛り上がる取り組みができると思いました。
利益が出なかったことですね。
「OFFICE DE YASAI」をローンチして1ヶ月後、情報番組のWBS(ワールドビジネスサテライト)に取り上げていただいたところ、顧客数が一気に増えたんです。
ただ、収益を見越した料金設計ができていなかったため、顧客は増えていくのに利益がでない状況が起きていました。
ミニトマトのオフィス販売で、プライシング*しました。
パック詰めしたミニトマトをオフィスに持っていって、まずは0円で売るんです。
0円だと、みんな持っていくじゃないですか。
次に100円、200円、300円……と値上げしながら様子を見ました。
200円、300円だと最初は売れるんですが、最終的には3つ4つしか売れなくなって。
ミニトマトのオフィス販売から「100円以下でサービス提供できなければ売れない」と判明しました。
*プライシング:製品やサービスの価格を決める戦略や業務プロセスのこと
福利厚生サービスなので成り立っているんです。
利用者が100円で購入できる案を考えた結果、フリーミアム*で広げて広告モデルにする案と、企業から月額費をもらう福利厚生案が挙がり、我々は後者を選びました。
「OFFICE DE YASAI」の商品を150個届けるためには6万8000円の月額費がかかりますが、届く商品がミニトマトだけなら誰も契約しないですよね。
でも、サラダやフルーツ、お惣菜やスムージーなどラインナップを豊富にすることで、この月額費(システム利用料や配送費なども含む)が成立しております。
少しずつサービスを向上する→月額を見直す、という調整を段階的に行いました。
*フリーミアム:「Free(無料)」と「Premium(有料)」を組み合わせた造語で、基本的な機能を無料で提供し、高度な機能やサービスは有料で提供するビジネスモデルのこと
2020年4月頃、前月に対して売上が約60%も減りました。
流石に危機感を抱いていた中で、山陰エリアで一番大きい会社の社長さんが「OFFICE DE YASAI」について問い合わせてくださったんです。
地方の会社なのでリモートワークできずに出社するかたが多いけれど、地元の飲食店は店を閉めているため、社員が食事する場所がなくなって困っていると。
どうにかしてあげたいと思っていたところ我々のサービスを見つけた、という話でした。
そのかたの問い合わせにピンときて地方ニーズに気づくことが出来ました。
そこで、首都圏メインに出していた広告を地方に全振りしたんです。
結果、新規契約率150%を達成できました。
北は利尻島から南は与那国島までサービス提供しているのですが、離島でのニーズを強く感じます。
離島は食料を届けるのにコストがかかるので、カップラーメンが1つ300円〜400円で売られているんです。
なので“安く食べられる”というバリューがとても高いんですよね。
他にも、買い出しに行く手間が省けたり、台風に備えて買い溜めする必要がなくなったり、メリットが多いようです。
そのようなニーズに応えるために、2020年秋には北海道と沖縄に製造・配送拠点を新設しました。
現在では全国に7拠点、製造・配送拠点を設けています。
そうですね。
ありがたいことに毎月着実にお客さまが増えていくので、製造・配送拠点でも雇用を増やしているようです。
地元の主婦さんなどを募集・雇用できるので、地域の活性化にもつながっていると言われました。
導入事例で多いのは、クリニックとホテルです。
アパホテルでは直営全店に導入していただきました。
他には、車や鉄道関係の会社が多いです。
近くにコンビニがなかったり、24時間の中で交代勤務をしたりするような業界でニーズが高い傾向にあります。
営業力の強さだと考えています。
プロダクトだけで見ても、ラインナップの豊富さや生鮮品の提供、広範囲のエリアを抑えていたりと、十分に優位性はあると思います。
ただ、地方の企業や金融機関をメインとした「代理店」との提携を行ったことで、顧客獲得のスピードが高まったのが一番の要因ではあるかなと。
新規導入企業の半数以上は、代理店との提携で獲得しています。
コロナ禍を経て地方ニーズが高いと判明したのがきっかけです。
地方の顧客獲得は、Webより“ウェットなコミュニケーション”で繋がりを持つ方が大事だと思ったので、代理店販売を始めました。
現在、100社ほどと代理店契約をしています。
ただ、これだけ代理店提携が増えてきても、大きなクレームは起きてないんですよ。
元々「OFFICE DE YASAI」のサービス継続率は約80%だったんです。
そこから98.4%まで数字が上がったのは、商品ラインナップ数が増えただけでなく、カスタマーサクセスのサポート体制がよりスピーディーに、きめ細かく整ったことが大きいと思います。
信頼って一発で崩れてしまうので、丁寧さは大切にしていきたいですね。
職種問わず積極的に採用しています。
素直で明るく、元気な人と一緒に働けたらうれしいですね。
我々は接点機会を大事にしているので「地元採用」を行っているんです。
地方へ行くときは東京のスタッフではなく、その地方で採用したスタッフに行ってもらいます。
営業メンバーに話を聞くと、面談した社長が中学の頃に野球で対戦したことがある人で、思わず導入につながったというケースもあって(笑)
求職者側からしても、自分の地元で働けるというメリットがありますよね。
福利厚生が充実しているところです。
例えば、小学生以下の子供を持つ親は、子供が風邪をひいて病院に連れて行くときに有給消化しなくて良い「そばにいてあげて休暇」を利用できます。
他にも、育休から帰ってきた半年〜1年間は、時短勤務しても給料が下がらないといった制度も設けています。
魅力的な福利厚生なのに、まだまだ認知されていないので、強めにアピールしたいですね!
ロジスティクスの見直しや、働く人が食べやすくて栄養も取りやすい商品の企画など、10年かけて形になってきたサービスをブラッシュアップしていきたいです。
この業界って、まだまだマーケットが大きいと思っています。
国内にある500万社のうち社員数5人以上の会社は200万社強もある中で、我々のサービス提供は1万社ほどしかカバーできていないため、白地の獲得を広げていきたいと考えています。
2つの方向を考えています。
1つ目は「福利厚生サービス」の拡充です。
2025年の夏前後には、新サービスをローンチする予定です。
2つ目は「買い物代行サービス」の構築です。
食品配送の部分を成長させて、地方の人がわざわざ買い物に行かなくても済むようなサービスを考えています。
そうですね。
2025年2月から、アメリカのロサンゼルスで5社のテストマーケティングが始まりました。
国をチョイスする上でアジアも回りましたが、食の嗜好や物価、エネルギー費のバランスを考えたときにアメリカが適していると思いました。
また、製造・流通の部分をお手伝いいただけるプレイヤーがロサンゼルスにいたので、アメリカでは2番目に大きいロサンゼルスを選びました。
日本でいうと、大阪から始める、といった感じでしょうか。
5〜10年かけて、事業が拡大すればするほど地域が活性化していく、エコシステムを構築したいですね。
既に話に出たような「地元の人の採用が増えた」というレベル感ではなく、もっと枝葉が増えて、生い茂るような取り組みを目指しています。
あとは、設置型の社食モデルをグローバルスタンダードにするようなチャレンジをしたいと思っています。
「私、野菜が苦手なんです」。
取材する上で隠していた事実を、帰る直前にカミングアウトしてみました。
すると、渡邉さんの口から「実は、僕も野菜が苦手なんです」という言葉が出てきたので耳を疑いました。
野菜が大好物だから起業されたと思っていましたが、苦手だったとは……。
それでも、野菜の生産地を活性化したい!野菜の生産者に貢献したい!という想いがあったからこそ、事業を拡大・成長できたのだと思います。
矛盾した表現ですが、苦手な野菜への“深い愛”を感じました。
ファンが絶えない理由は、渡邉さんの深い愛をサービスに落とし込めているから。
そして、同じ気持ちを持って拡販してくれるスタッフがいるからだと感じました。
すてきな想いに気づかせてくださり、ありがとうございます。
今回のインタビュー記事をきっかけに、多くの方へ「株式会社KOMPEITO」や「OFFICE DE YASAI」の魅力が伝わることを願っております。
取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作
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