福助が仕掛ける「いい裏切り」。コアファンを生む、唯一無二のプレミアムソックス『SHAPERS for men PREMIUM』

Matsui

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こんにちは、&Fansライターのマツイです。

&Fansでは、熱狂を生む企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。

靴下や肌着で知られる老舗ブランド、福助。名前のとおり、福助のマークで知る人ぞ知る企業です。女性の中には、福助ブランドのストッキングを愛用している方も多いのではないでしょうか。

(私も「満足」シリーズの大ファンです!)

そんな福助株式会社が、最近発表したのが男性用着圧ソックス「SHAPERS for men(シェイパーズ フォーメン)」の最上級モデル。「着圧ソックス=女性用」のイメージが強い中、あえて“男性用”というニッチな市場に挑んだ理由とは?さらに既存モデルの枠を超え、最上級モデルの開発に踏み切った背景とこだわりにも迫ります。お話を“Mr.SHAPERS”こと取締役の早川さん、開発担当の丸山さんに伺いました。

目次

SHAPERS for menシリーズとは?男性向け着圧ソックス誕生の背景

―本日はよろしくお願いいたします。まず、「SHAPERS for men」シリーズについておしえてください。

早川さん(以下、早川):
SHAPERS for menは、2005年に生まれた男性向けの着圧ソックスです。長時間のデスクワークや出張、立ち仕事などで脚のむくみや疲労を感じやすい男性に向けて提案しています。

―着圧ソックスは男性向けも多いのでしょうか?

早川:
いえ、そう多くはないんです。男性はそもそもハイソックスを履かない方が多いですし、「締め付けられる感じが苦手」とおっしゃる方も多くて(苦笑)。

―なるほど、男性の着圧ハイソックスはそこまで一般的ではないのですね。それにもかかわらず開発・販売したのはなぜでしょう。

早川:
女性の着圧ストッキングを開発していた男性担当者のひらめきで生まれました。当社では、性別に関係なく開発中の製品を試す文化があるんです。そこで彼が着圧ストッキングを試したところ、足の疲れ方が格段に違うと気付いて。「男性用も作ってみてはどうか」と企画したのが、SHAPERS for menのはじまりです。

―先ほどニーズの少なさ、締め付けへの苦手意識のお話がありました。それでも開発・販売しようと決断された理由や背景をおしえてください。

早川:
最も大きな理由は「着用感」でしょう。

私もはじめて履いたときは、心地よさと爽快感が段違いで驚きました!これならば、必ずや売れるに違いない、素直にそう思いましたね。 

また別の視点で言えば、靴下、特にビジネス用の靴下にはトレンドがないこともあげられます。流行り廃りがない分、いいと思ったものをずっと愛用する。そうした傾向があることから、着圧ソックスのよさが広まればきっと勝負できると考えたんです。

加えて「世の中にないものを作っていく」、そんな福助のマインドも大きく作用したと思います。

ビジネスマンの強い味方として大活躍。リピーターも多い!

(出典:https://www.fukuske.com/c/0000000106/0000000113

試作品は数知れず。理想の着圧ソックス誕生の舞台裏

―まさに「世の中にないもの」を作って展開していったんですね。

早川:
はい、そのため苦労や試行錯誤も多くて。

男性用靴下のイメージを180度変えようと、「エレガントな足元」をコンセプトに開発を続けました。一般的な靴下より高価なため、高級感を意識して当時では珍しい箱入りパッケージにしたのも工夫した点です。提案した百貨店では「かさばって置き場に困る」と怒られたりもしましたね(苦笑)。

ただ、その珍しさから手に取る人も多かったと聞きます。そして当初は疑惑の目を向けていた百貨店の皆さんも、着用感や体感に納得したため、売り場に並べてくれたんです。

「肌着が箱に入っているのを見て、『これは格好いい!』と思いついた」と早川さん。

―確かに箱に入っていると高級感が一気に増しますね!パッケージにも工夫を凝らしているなら、靴下自体も相当なこだわりが詰め込まれているのでは?

丸山さん(以下、丸山):
はい、そのとおりです。

SHAPERS for menの一番のこだわりは、着圧バランスです。フットケアの先進国であるドイツの研究・理論を採用し、段階着圧設計を採用。ふくらはぎは16ヘクトパスカル、足首は26ヘクトパスカルにしています。これは血液を心臓に戻すのをサポートする、ポンピング作用に基づく設計です。

計算されつくした着圧設計。たるまないだけでなく、消臭機能や静電気防止などのうれしい機能も!

―フットケア理論を取り入れた設計には安心感があります。開発はスムーズに進んだのでしょうか?

丸山:
現在の着圧値に至るまで、試作品を相当数作ったと当時のメンバーから聞いています。

特に圧力と生地のバランスにはだいぶ苦心したそうです。ほかにも専用の測定機器をドイツから取り寄せたり、社内モニターに感想を聞いたりと試行錯誤の連続でした。

―「世の中にないもの」ならではの苦労がここにも!

丸山:
基準がない、それが一番の悩みの種だったと思います。

たとえば、ふくらはぎの太さも人によって異なりますよね。さらに少し着圧値を変えただけでも、人によっては「痛い」と感じる。だからといって、ゆるめの設計にすると着圧ソックスではなくなってしまう。毎日でも履きたいと思ってもらえる着用感と効果、そのバランスも苦心した点です。

30代~50代の大人世代に支持される“見えないこだわり”

ーSHAPERS for menは、どんなお客さまに支持されていますか?

早川:
一番多いのは30代〜50代のビジネスパーソンです。長時間のデスクワークや会議、出張時などに利用されていて、旅行好きの方や販売・サービス業の方にも好評です。見えないところにも気を配りたい、自分に投資をしたい、いいものに価値を感じる。そんな大人の皆さんに愛用いただいています。

ー長年愛用するリピーターも多いと聞きます。リピートされる理由はどこにあるとお考えですか?

早川:
やはり機能性、もっと言えば履き心地と疲れにくさのインパクトでしょう。

一度試すだけで「足の疲れ方がまったく違う」とファンになっていただける方もいます。なかには「SHAPERS for menが快適すぎて、タンスの靴下は全部捨てた!」なんて言ってくださる方も(笑)。我々の商品に価値を感じていただけるのは、本当にうれしくありがたいことですね。

ーお客さまの声は大きな励みになりますよね。そうしたリアルな声は、どのように収集していますか?

早川:
お客さまからのダイレクトなご意見は、自社ECサイトのレビュー、当社のお客さま相談室から集めています。

間接的には当社の営業スタッフ、卸先の担当者さん・バイヤーさんからも収集していて。売り場でのお客さまの感想はもちろん、反応や表情など気付いた点を共有していただいています。意見や反応には、好意的なものだけでなく厳しいものも。ただそこには提案・改善のヒントが詰まっているので、しっかりと受け止めています。 

さまざまな声の終着先が丸山さん。最上級モデルのSHAPERS for men PREMIUMにもたくさんの意見が生かされている。

機能もデザインも妥協なし!「SHAPERS for men PREMIUM」で仕掛ける“いい裏切り”

ーそして今回発表されたのが、最上級モデルである「SHAPERS for men PREMIUM」。プレミアムラインを開発するきっかけは何だったのでしょうか?

丸山:
より快適にファッションを楽しんでほしい。そんな想いがきっかけです。

靴下以外で考えても、世の中には機能性に優れたアイテムがたくさんあります。しかし一方で、機能を追求するあまり、デザインを後回しにしているものも。そこで機能もデザインも重視したアイテムを作りたかったんです。

ー開発時に意識したターゲット層はありますか?

丸山:
イメージでお伝えすると「ダンディーなおじさま」ですね(笑)。

背伸びせず、スマートに履いていただくイメージで、気持ちにも余裕があるおしゃれな方を想像して開発しました。よりラグジュアリーで、エグゼクティブ向けです。価格も1万円と決して安くはありません。でもだからこそ、若い方には「いつか手に入れたい!」と憧れを抱いてほしい。そんな想いもあります。

ー実際に触ってみると、手触りのよさに驚きました!着圧ソックスならではの密着感もありつつ、発色がすごくいいですね。黒が「黒っぽい」のではなく「黒」である点に素材の良さを感じます。

SHAPERS for men PREMIUM。ブラック、ネイビー、グレーと発色のよさの秘密は「糸」にあり!

丸山:
糸には特にこだわったので、そう言っていただけると頑張った甲斐があります!10種類以上の候補の中から選びに選び抜いた糸です。染め方にこだわりがある糸で、シルクのような艶やかさが気に入りました。特に黒はわかりやすいですね。糸による表情の違いもチェックして、一番見た目がきれいだと感じたものを採用しています。

ー素材以外にもこだわりポイントがありそうです。

丸山:
実は今回も既存モデル同様に、包装用の箱にこだわりました。高級感がありつつ、ギフトにも使える箱を……と考えた結果、想像以上に時間がかかってしまって(苦笑)。開け閉めする際に妙な抵抗がなく、すっと吸い込まれるように納まる点が気に入っています。

ロゴが輝くゴールド×グレーの箱。シンプルながらも上品さが際立つ。

ー既存モデルのリピーターからは、どんな反応を期待していますか?

丸山:
リピーターの皆さんを裏切りたくはありませんが、いい意味での裏切りはしたいなと思っています。

今回の新モデルも「うわ!値段高いなあ!」なんて言いつつ、「すごいのを出してきたぞ」「ちょっと面白そう」とうれしそうに話してくれたらいいですね。そこから履いてみよう、と購入のきっかけになったらありがたいです。

既存モデルの長所はそのままに、最高の一足を。文字通り一緒に「歩んできた」靴下への想いはひとしお。

福助の誇りを胸に。SHAPERS for menブランドが目指す次のステージ

ーSHAPERS for men PREMIUMを通じて、お客さまにどんな新しい価値を提供したいとお考えですか?

早川:
靴下は年齢や性別を問わず、誰もが身に着ける身近なものですよね。だからこそ特段気にせず、安い物でも十分だと考える人も多いでしょう。だからこそ我々はそんな靴下の価値を上げたいと考えています。

よく「おしゃれは足元から」と言いますが、注目されるのは靴だけ。そこに靴下も含まれるべきではないかと私は考えています。靴下までトータルでおしゃれを楽しむ、そんな風に新しい考えが根付いたらいいなと思っています。

丸山:
スーツでおしゃれを楽しんでいる人にも、SHAPERS for menのよさを知ってほしいですね。コロナ禍を経て、ビジネスシーンは大きく変化を遂げました。現在スーツを着ている人は「業務上スーツが必須の人」と「好きでスーツを着ている人」の2つに分けられると思います。SHAPERS for menは特に後者の方におすすめしたいところ。マジョリティではないかもしれませんが、そうした方に刺さるアイテムと価値を提供できたらと考えています。 

いわば初代と2代目の“Mr.SHAPERS”。やり取りからは、あたたかさとお互いへの信頼が伝わってくる。

ーSHAPERS for menブランドの今後の展望をお聞かせください。

早川:
靴下は多くの人にとって「消耗品」の位置付けだと思います。しかし時計やアクセサリー同様、「気に入っているから身に着ける」「ここぞ!というときのお守り」のような存在になれたら。そしてSHAPERS for menがそのきっかけになれたら、こんなにうれしいことはありません。展開面では、ECサイト・百貨店以外にも販路を広げるべく計画中です。より多くの人に試していただき、良さを広めていけたらと思います。

この商品は大きなマーケットかつマジョリティ向けの商品ではありません。ですが作り続ける意義がある商品だと考えています。多くの人に誇れる、福助ならではのブランドとして今後も成長させていくつもりです。

ー今後もきっと、SHAPERS for menファンは増えていくと思います。素敵なお話をありがとうございました!

取材を終えて

お気に入りのシューズと合わせて楽しんでほしい、とお二人。

今回、取材を通して感じたのは、福助という老舗が“履くもの”に託す真剣さと美学。その熱量は、靴下の話にとどまらず、身だしなみやライフスタイルにまで通じていると感じました。

残念ながら女性の私は、SHAPERS for menを実際に試すことはできません。ですが、そのこだわりや背景に触れるうちに、なるほどこれは男性たちの密かな誇りであり、おしゃれ心なのだと納得。小さな部分にこそ、その人らしさや美意識が宿るのでしょう。

そしてお話を伺う中で、福助のレディース部門にも自然と興味が湧いてきました。靴下ひとつにも宿る丁寧なものづくりの姿勢は、きっと女性向けのラインアップにも息づいているはず。私が愛用するストッキング「満足」をはじめ、それぞれに語られるべき物語があるに違いありません。

見えにくいからと気を抜かず、足元から自信をつける。そんな一足を届ける福助の皆さんに、私も心を正された1日でした。

「SHAPERS for men PREMIUM」https://www.fukuske.com/f/shapers-premium

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