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Takanashi
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こんにちは、&Fans ライターの小鳥遊です。
「会社に対して感じている不満を従業員に聞いてみたい……」
「従業員のエンゲージメントを上げたいが、何から始めたら良いか分からない……」
人事業務に携わる方であれば、一度は悩んだ経験があるのではないでしょうか。
テレワークを筆頭に働き方の“多様化”が進んだことで、従業員の本音に気付きづらい環境が確立され始めています。
そのなかで注目を集めているのが「eNPS」です。
本記事では、eNPSとは何かを解説するとともに、導入するメリットや調査方法についても詳しく解説していきます。
eNPSは従業員のエンゲージメント向上だけでなく、企業成長にも大きな効果をもたらします。
人事・総務担当者はぜひこちらの記事を参考にしてください!
目次
eNPS(イー・エヌ・ピー・エス)とはEmployee Net Promoter Scoreの略称で、従業員のエンゲージメントを数値化した指標のことです。
従業員に「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めますか」という質問を投げかけて「職場の推奨度」を測ります。
数値の高い順から「推奨者」「中立者」「批判者」へと区分され、推奨者の割合が多いほどエンゲージメントの高い従業員が多く在籍する会社だと判断できます。
eNPSが可視化できると、企業が向き合うべき課題が明確になり、最善な解決策を打てるようになります。
その結果、従業員のモチベーションが上がって生産性が向上したり、離職率低下につながったりするだけでなく、優秀な人材も集まってきます。
従業員のエンゲージメントを上げる施策も、闇雲に行っていては効果が出ません。
eNPS調査の結果を分析し、改善に向けて適切な対策をとることが大切です。
従業員エンゲージメントが可視化できると、見えない課題が浮き彫りになるため、企業成長に良い影響をもたらします。
さまざまなメリットの中から、代表的なものを3つ解説していきます。
eNPSの調査結果をもとに職場の課題が改善されると、従業員のモチベーションが上がり、生産性の向上が期待できます。
自社に対して愛着が持てるようになると「会社に貢献したい」と思うようになり、仕事への責任感が強まります。
業務の効率化や、チームメンバーとの関係構築を“主体的”に取り組むようになるため、企業の業績アップにつながり、顧客満足度の向上も期待できるでしょう。
従業員が主体性を持って動けるようになるためには、eNPSを可視化して、一人ひとりにあわせたフォローを行っていくことが大切です。
会社に対して不満を感じている従業員を把握する事で改善策を打てるため、離職率の低下につながります。
eNPSの数値が最も低い「批判者」層に気付けないままでは、離職者が増えていく一方です。
数値を可視化できると不満を感じている従業員を予測できるため、相談に乗ったり、不満の原因を取り除いたりできる機会が生まれます。
優秀な人材の離職は、会社にとって大きな損失です。
最後は本人の意見を尊重しなければなりませんが、会社が親身になってフォローできるかどうかで離職率が大きく変わってきます。
eNPSが高い従業員にリファラル採用に取り組んでもらうと、企業のカルチャーにマッチした人材が確保しやすくなります。
リファラル採用とは、自社の従業員に、友人や知人などを紹介してもらう採用手法です。
eNPSが高い従業員は、リファラル採用に積極的に取り組むだけでなく、自社をより良くしたい向上心から、優れた人材を紹介するケースが多く見られます。
紹介を受けて入社した社員は、会社との親和性が高く、離職率が低い傾向が強いです。
マッチ人材を確保できるだけでなく、採用にかかる広告費や人件費が削減できるなど、採用コストを減らせる点もメリットだと言えるでしょう。
eNPSと混同されやすい用語には「NPS」と「ES」が挙げられます。
調査の目的や対象者を例にあげて、それぞれの違いを詳しく解説していきます。
NPSとは、Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)の略称で顧客ロイヤリティを数値化した指標です。
顧客に対して投げかける「商品やサービスを親しい人にどの程度おすすめしますか」という質問への回答を数値化し、スコアをもとに商品の改善・開発に役立てます。
eNPSは、元々Apple社が行っていたNPS調査から派生して誕生したものです。
推奨度を測る点では同一ですが、eNPSの対象は従業員であるのに対し、NPSは顧客を対象としています。
間違われやすいですが、調査の“対象者”が異なると理解しておきましょう。
ESとは、Employee Satisfaction(エンプロイー・サティスファクション)の略称で、従業員満足度を意味します。
従業員が、職務内容や報酬、人間関係などに対してどの程度満足しているかを表す指標です。
固定の質問内容は存在せず、企業ごとに異なる質問を用意して調査します。
eNPSとは調査対象者・目的ともに同一ですが、大きく異なる点は回答の“正確性”です。
ES調査で多用される「会社に満足していますか」という質問より、eNPS調査で使用される「親しい人にお勧めしたいですか」という質問の方が、正確な回答を得られやすい傾向にあります。
正確性を求める場合はeNPS調査、広く浅く調査したい場合はES調査が向いていると言えるでしょう。
短期間で正確な調査を行うのであれば専門業者への委託が確実ですが、正しいステップを踏めば自社内での調査・分析は十分可能です。
eNPSの調査方法を4STEPに分けて詳しく解説していきます。
eNPS調査において「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めますか」という質問は必須です。
ただ、その質問だけではeNPSのスコアを算出できても、その点をつけた理由までは調査できません。
理由を明らかにするために、他の質問を付け加えると効果的です。
例えば、仕事のやりがいについて問いたい場合は「自分の仕事は誰かの役に立っていると思うか」という質問内容が適しています。
eNPS調査には、決まった質問内容はありません。
報酬や労働環境など、自社が聞きたい項目について質問内容を考えてみましょう。
従業員に「親しい知人や友人にあなたの職場をどれくらい勧めますか」という質問に回答してもらいます。
他の質問内容も用意している場合は、併せて回答してもらいましょう。
eNPS調査の回答は0〜10点まで用意されています。
質問への回答として一番近いと思う点数を、0点(まったく勧めたいと思わない)から10点(非常に勧めたいと思う)の中から選んでもらいましょう。
従業員の回答が完了したら、スコアを計算します。
0~6点を付けた従業員は「批判者」、7~8点は「中立者」、9~10点は「推奨者」へと区分します。
「推奨者」の割合(%)から「批判者」の割合(%)を引いて出る値が、eNPS℠のスコアです。
例えば「推奨者が30%」「中立者が30%」「批判者が40%」の企業の場合「30-40=-10」となり、eNPSスコアは「-10%」となります。
「推奨者」が多く「批判者」が少ないほど、eNPSスコアは高くなるという原理です。
eNPSスコアを計算して終わりではなく、調査結果を細かく分析します。
業界別スコアを参照し、自社がどの位置にいるのか把握できると、新たな課題が見つけられるでしょう。
eNPSスコアの高い会社については、IR情報やプレスリリースなどの情報に目を通してみると、高スコアを出すためのヒントが得られるかもしれません。
分析結果をもとに、改善策の計画(Plan)、実行(Do)、評価(Chenk)、改善(Action)のサイクルを回し続けていくことが大切です。
スコアの高低を間に受けすぎると、デメリットをもたらすため注意が必要です。
eNPSを有効活用するために知っておきたいことを解説します。
eNPS調査に回答するとき、従業員が考慮することは1つではありません。
「自分の働きに正当な評価が付いているか」や「仕事の悩みを相談しやすい職場なのか」など、多角的に考えて回答しています。
eNPSスコアに影響を与える要因の多くは、人事評価や人間関係、報酬面とされています。
従業員によっては、職場環境や仕事のやりがいなどを重要視するケースもあるので、要因は人それぞれだと言えるでしょう。
スコアを気にするのではなく、影響している要因は何なのかを分析することが大切です。
一般的に、0〜6点を付けた従業員は「批判者」層とされています。
しかし「批判者」層の全員が、会社に対して強い不満を感じているとは限りません。
0点と6点を付けた者で感じている不満の度合いは大きく異なるため、何点の回答者が多いのかを把握することが大切です。
仮に、6点の批判者の割合が10%だった場合、その半数人を中立層に移動できれば、eNPSスコアを5%近く向上できます。
eNPSを改善するためには、スコアではなく各層の分布に注目することが大切です。
国内企業のeNPSスコア平均値は、-56.7と発表されています。
平均値以下のスコアが算出されると「悪い企業」だと思い込みがちですが、必ずしもそうとは限りません。
報酬には多くの社員が満足しているものの、人事評価には満足していない従業員が多い結果、eNPSスコアが低くなってしまうケースもあるでしょう。
数字だけで判断すると、改善すべきではない企業課題に、労力やコストをかけ過ぎてしまいます。
スコアの高低を気にするのではなく、従業員のエンゲージメントに影響を与える要因は何なのか冷静に判断することが大切です。
国内企業のeNPS活用事例を2つ紹介します。
これらの企業を参考に、ぜひ導入を検討してみてください。
2024年度のサスティナビリティレポート内に、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の取り組みの一環として、eNPSアンケートを実施したことが明記されています。
現時点(2023年度調査)のeNPSスコアは-13、2030年度の目標eNPSスコアは-8と発表されています。
調査結果を職員向けに説明・フィードバックをすることで、より良い職場環境づくりに取り組んでいる企業です。
参考:https://www.daiwahouse-reit.co.jp/file/esg_reports-2fb2d2251ef4e1ede46965f141b757fc14a59e15.pdf
(P.6、P.26に記載あり)
統合報告書にて、eNPSのスコアや分布、eNPSに影響を与える要因の分析結果を公開しています。
また、従業員エンゲージメント向上のための改善施策についても明記されており、取り組みの透明性が高いと評価されている企業です。
参考:https://www.hfhd.co.jp/_wp/wp-content/uploads/2024/01/report2022.pdf
(P.70に記載あり)
eNPSは、従業員のエンゲージメント向上に役立つだけでなく、企業成長のためにも欠かせない指標です。
調査だけで終わらず、結果を分析し、職場の改善に向けて活用していくことが大切です。
従業員は会社に対する本音を伝えづらく、会社は従業員の本音に気付きづらいもの。
お互いにとって“より良い会社”を作り上げるために、ぜひeNPS調査を取り入れてみてはいかがでしょうか。
……
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