マーケター/デザイナー必読!ターゲットオーディエンスとは?デザインの観点から徹底解剖

Sagano

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初めまして!&Fans デザイナー兼編集スタッフの嵯峨野です。

私は&Fansを運営しているrayout株式会社のアートディレクター/デザイナーとして、様々な案件や社内事業のクリエイティブを担当しております。

さて、デザインでもマーケティングでも、成功の鍵となってくるのがターゲットの設定です。

ターゲットをどの層に設定するかで、アプローチ方法やアウトプットは無限に変わってきます。

今回は、ファンマーケティングをする上で重要なフローの1つである「ターゲットオーディエンス」について、デザイン目線で噛み砕いて行きます!

ターゲットオーディエンスの重要性

ターゲットオーディエンスとは何か?

ターゲットオーディエンスとは、製品やサービス、デザインなどのクリエイティブな制作物が、誰に向けて作られているかを明確にした層のことです。デザイナーにとってターゲットオーディエンスを定義することは、デザインを作成する上で重要なステップです。

ターゲットオーディエンスを理解することで、その層のニーズ、嗜好、文化的背景、価値観に合ったデザインを作り出すことが可能になります

ターゲットオーディエンスとデザインの関係性

デザインの意図やメッセージを効果的に伝えるためには、誰にそのメッセージを伝えるのかを明確にする必要があります。

例えば、若者向けの広告デザインとシニア層向けのパンフレットでは、配色、タイポグラフィ、レイアウト、さらには言葉の使い方に至るまで、大きく異なるアプローチが必要になります。

若年層には鮮やかな色彩や大胆なデザインが効果的な一方、シニア層には落ち着いたトーンや読みやすさを重視したデザインが求められます。

このように、ターゲットに合った視覚的な要素を選ぶことで、デザインはより説得力を持ち、ターゲット層に響くものとなります。

また、ターゲットオーディエンスを意識することで、デザインの目的やゴールも明確になり、クライアントやチーム内でのコミュニケーションがスムーズになります

デザインの意図がブレることなく、クライアントの期待に応えるクリエイティブな解決策を提供するためには、ターゲットオーディエンスの理解が不可欠です。

デモグラフィックとサイコグラフィックの違い

ターゲットオーディエンスの詳細な分析には、2つの要素が必要になります。

年齢、性別、職業、所得層、趣味・関心などのデモグラフィック情報と、ターゲットの価値観やライフスタイル、消費行動などの心理グラフィック情報です。この2つの要素を深く理解することが、デザインの成功に直結します。 更に詳しくみてみましょう。

デモグラフィック (Demographic)

デモグラフィックは、人口統計的な情報に基づいてオーディエンスを分類する方法です。

具体的には、年齢、性別、収入、職業、学歴、家族構成、居住地域など、社会的・経済的な特性に基づいてターゲットを定義します。

顕在化しやすい特徴に基づいてターゲットを理解するため、デザインの初期段階での大まかな方向性を決める際に役立ちます。

サイコグラフィック (Psychographic)

サイコグラフィックは、オーディエンスの心理的・感情的な特徴に基づいて分類する方法で、ターゲットの価値観、信念、ライフスタイル、興味、趣味、意見などに注目します。

デザインにおいて、より深い洞察を提供し、ターゲット層の内面に響くようなデザインを作成するのに役立ちます。

サイコグラフィックを取り入れることで、ターゲットオーディエンスの深層的なニーズや動機を理解できるため、より共感を呼び、行動を促すデザインが可能になります。

ターゲットオーディエンス設定のメリット

ここまでターゲットオーディエンスの重要性を軸に見てきました。

次は ターゲットオーディエンス を適切に設定することで得られるメリットについて、以下の3つのポイントに焦点を当てて深掘りしていきましょう。

クリエイティブな方向性の明確化

「ターゲットオーディエンスとデザインの関係性」でも述べた通り、ターゲットオーディエンスの設定vは、デザインにおけるクリエイティブな方向性をはっきりと定めるうえで不可欠です。これは、デザインプロジェクトにおける「目的地」を決める作業とも言えます。

ターゲットオーディエンスを具体的に理解することで、その人たちがどのようなデザインやビジュアルに共感しやすいか、どのようなメッセージを伝えるべきかが明確になり、結果的にクリエイティブの選択肢を絞り込んで効果的なデザインを作り出すためのガイドラインとなります

コミュニケーションの強化

デザインは、視覚を通じたコミュニケーションの手段です。ターゲットオーディエンスを明確にすることで、デザインが持つメッセージが一貫し、受け手に強く届くようになります。

特にブランドや製品の価値を適切に伝えることが求められる場合、ターゲットオーディエンスを理解しないと、メッセージがぼやけてしまい、誰にも響かないものになってしまいます。

ターゲットオーディエンスを設定することで、彼らが何を重視し、どのような問題に直面しているかを理解することができ、デザインを通してそのニーズや関心に直接アプローチできます。

例えば、エコフレンドリーな製品を販売する企業が、環境問題に対する高い関心を持つ層をターゲットにしている場合、デザインに自然やサステナビリティを象徴するアイコンや緑系のカラーを取り入れることで、製品やブランドの価値を的確に伝えることができます。

その結果、ユーザーはブランドや製品のメッセージを直感的に理解しやすくなり、デザインを通じたコミュニケーションが強化されます

コンバージョン率の向上

ターゲットオーディエンスを明確に設定することは、結果的にコンバージョン率(商品購入、サインアップ、問い合わせなどの行動を起こす率)の向上にも大きく寄与してきます。

コンバージョン率を高めるためには、ターゲット層の心理的なニーズや行動パターンを理解し、それに即したデザインを行うことが重要です。

例えば、オンラインショッピングサイトのデザインにおいて、ターゲットが20代〜30代の若い世代である場合、モバイルフレンドリーなデザインを意識し、シンプルでわかりやすいナビゲーションや素早く購入できるUIを設計することが重要です。

また、ビジュアルやメッセージにおいては、若年層が共感できるトレンドやスタイルを反映させることで、コンバージョンに繋がる可能性が高まります。

逆に、ターゲットが高齢者層であれば、フォントサイズを大きくしたり、色のコントラストを高めることで視認性を向上させるなど、ユーザーの利便性を考慮したデザインが求められます。

ターゲットに合わせた最適なデザインが施されることで、ユーザーが迷わずに目的の行動を起こすことができ、結果としてコンバージョン率が向上します。

まとめ

ターゲットオーディエンスを設定することのメリットは、クリエイティブな方向性の明確化、コミュニケーションの強化、そしてコンバージョン率の向上という形で、デザイン全体に大きな影響を与えます。

ターゲット層を正しく理解し、そのニーズや価値観に寄り添ったデザインを提供することで、効果的かつ共感を呼ぶデザインが実現し、ビジネスの成功に直結します。

もっと知りたい方に!ターゲットオーディエンスを反映したデザインの成功事例

ターゲットオーディエンスを設定することのメリットまでわかってきました。

最後に、実際に企業はどのようにターゲットオーディエンスを設定し、どのような効果を生み出したのか、デザインに着目して成功事例を見ていきましょう。

成功事例1:資生堂のプリオール

引用:https://corp.shiseido.com/jp/company/talk/20221125.html

■ターゲットオーディエンス

新大人世代(※)の女性

※若い気持ちを持ち続け人生を前向きに捉えて楽しんでいる40代~70代

■背景

「人生100年時代」と言われている今だからこそ、年齢という軸ではなく、今もこれからも人生を楽しんでほしいという思いで、ブランドとしてもっと役立てる商品や体験を提供するべく、ブランドを進化させることに。

大人の悩みを超えた先にある満たされた気持ちを表現する「大人の七難ピースでいこう」という新たなメッセージを掲げた。

プリオールを通じて、「ツヤっと輝く」「笑顔」「チャレンジ」「美ラク」「もっと」「わいわい」「満たされる」といった、7つの大人女性の幸福感を実現できる商品や体験を提供する方針に決定。

■デザイン

毎日使うものだからこそ気持ちが上がることを大事にしたいという思いでパッケージデザインを制作。

多面体の容器は、光を受けてキラキラと輝くという見た目の美しさを叶えると同時に、手に持ったときに滑りにくい構造に。感性計測にも基づき、すべての人にとって使いやすく美しくもある「ユニバーサルビューティーデザイン」を目指した。

また、サステナビリティの観点から、容器の詰め替えも可能に。大人世代の方が力を使わず簡単に容器のキャップを開けられる仕様にしている。

使うときにも心が躍るように、ゲルは気分が上がるピンク色にし、輝きも与えた。

この世代の商品は、例えばメイクでもしわを隠すことにフィーチャーする為、肌がマットになってしまうこともあるが、使用ユーザーにアンケートを取ると、いくつになってもキラキラしたものが好きという声がある。

単純なスキンケアではなく、メイクアップに近い感覚でワクワクしながら使用できるよう、「美しくなりたい」という気持ちに応えられるシズル感を大切にした。

■結果

塗ったそばからの感触、本格しわ改善のオールインワンに対する反響が大きく、「スキンケアの概念が変わった」「これなら私にも続けられそう」というユーザーの声が多数届いた。

店頭などでの実際のコミュニケーションでも同様のやりとりが生まれ、キーワードや想いがしっかりとユーザーに伝わっていることがみてとれた。

通常の製品と比較して倍以上の反響があり、現在も売上は好調をキープしている。

■参考文献

『新しく生まれ変わった「プリオール」が大人世代の“ピースな毎日”を応援〜大人の七難の先にある幸せに寄り添うブランドへ〜』

https://corp.shiseido.com/jp/company/talk/20221125.html

成功事例2:アサヒビール スーパードライ生ジョッキ缶

リニューアル前

     

引用:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000804.000016166.html

リニューアル後

引用:https://www.asahibeer.co.jp/news/2023/0428_2.html

■ターゲットオーディエンス

飲酒習慣のある20代以上の広い世代。

特に、飲食店では生ジョッキビールを好んで呑み家でも飲酒する習慣のある層で、缶ビールも口にするが味や香りに満足していない人。

■背景

缶酎ハイや缶ハイボールなどの安くて美味しい商品が増え、家飲みでの選択肢に広がりができつつある中、“お店で呑む生ジョッキ”が家でも呑みたいという声が顕在化してきた。

ビールには、コミュニケーションの活発化や人間関係の円滑化など、とてもポジティブな力があり、お店で呑む生ジョッキはそれを象徴する。


ビールを通じてお客様をワクワクさせたいという想いから、「家でお店の生ジョッキの気分が味わえる」という、シンプルな商品コンセプトが生まれた。

■デザイン

「あのスーパードライが何か新しいことを始めたぞ」と顧客に感じさせるスーパードライらしさを持つデザインであること。また、「生ジョッキ缶」の商品特長が伝わり、新しさを持つデザインであること。

両極端にあるこの2つを同時に実現するために、缶の全面をジョッキに見立てたデザインなども検討しながら顧客と対話を重ね、ブラッシュアップを繰り返し行なった。

結果的に、スーパードライらしさと「生ジョッキ缶」の新しさを兼ね備えた、今までにないイメージづくりが成功した。

■結果

2021年1月に発表以来、かつてないほどの大反響を生んだ。

2023年の夏に製造工程・デザインともにリニューアルし、泡のきめ細やかさや蓋の開きやすさの向上、「スーパードライ」らしさをより感じさせるデザインに変更された。

ビールの酒税が改正されたことで、発泡酒からの流入も増えている中、23年12月末時点で発売以来販売本数が5億本を突破している。

■参考文献

『生ジョッキ缶開発ストーリー 商品企画編』

https://www.asahibeer.co.jp/superdry/namajokkikan/story/kikaku

このように、ターゲットオーディエンスを設定することは、デザイン制作するにあたり最重要と言っても過言ではないほど、実は深い関係性を持っています。

クリエイティブのメッセージをしっかりと伝達するためにも、ターゲットオーディエンスをきちんと設定していくよう心がけましょう。

……

&Fans を運営する rayout ではターゲットオーディエンス設定の企画段階から伴走する他、組織運営の整備のお手伝いもしています。まずは何をやったらいいか、ざっくりとした相談でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。

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