ファンマーケティングとは?目的や成功事例からからわかる、ポイントを解説
Kamiya
Kamiya
こんにちは、 &Fans 編集長カミヤです。
こちらの記事では、最近しばしば耳にする「ファンマーケティング」について紹介したいと思います。当メディアを運営する rayout はブランドの課題毎にファンを創るプロフェッショナルとして、さまざまな案件を手がけてきました。
そこで、プロの目線からファンマーケティングについて紹介していきたいと思います!
目次
ファンマーケティングとは?ブランドの愛着を活用した売上拡大戦略
ファンマーケティングの定義と重要性
ファンマーケティングは、近年注目を集めているマーケティング手法の1つです。その企業が持つ、商品やブランドに対する愛着を持ったファンを増やすことで、中長期的な売上拡大を目指すことを目的としています。ファンマーケティングを通して、熱量の高い顧客をつくっていくことで、短期的ではなく長期的な顧客と企業・商品・ブランドの関係性を構築し、収益をつくっていくことができます。
ブランドのファンとなった消費者は、商品やブランドを長期間にわたり支え続ける存在です。例えば、同じようなブランドが新たに発売されたり、市場の影響により商品価格が高騰した場合などでも、ファンはブランドに対する愛着から離れず、購入を続けてくれます。これにより、企業は経済的な変動に左右されにくい安定した売上を維持することができます。
ファンマーケティングが注目される理由:従来のマーケティングとの違い
近年、消費者の心理や市場の変動に対応するため、多くの企業がファンマーケティングに注目しています。従来のマーケティング手法に比べて、ファンを育成し、長期的な関係を築くことができるこの手法は、ブランドの持続可能な成長を支えるための有力な戦略です。また、熱量の高い顧客からの声を恒常的にヒアリングすることで、既存商品のブラッシュアップや新商品開発のヒントにもなります。
これまでのマーケティング手法は、さまざまなターゲットに対して広く伝える、いわゆるマスマーケティングに依存をしてきました。テレビCMや屋外広告などがそれにあたります。マスに対してのマーケティングのメリットは多くの人にリーチできるという点があります。一方でターゲットとなる顧客や消費者一人ひとりのインサイトを汲み取るといったことは得意ではありません。
そこでファンマーケティングの登場です。ファンマーケティングは、特定のセグメント、とりわけブランドや特定の商品に対して強い関心や共感を持つ人々に焦点を当てます。推し活といったワードを最近しばしば耳にしますが、アイドルに限らず様々な企業もそのようなファンの活動を重視しているのが近年の流れです。例えば、SNSを通じて顧客(ファン)と直接コミュニケーションを図り、フィードバックをリアルタイムで反映することなどが挙げられます。
このグラフからわかるように、9割以上の消費者がSNSなどを活用し、事前に口コミなどの情報収集することで購入時における比較検討を行なっています。
つまり、熱量の高いファン(=SNSに口コミを投稿してくれる人)との関係性を構築することで、そのファンだけでなく、SNSなどを通じて周囲の人々へもその熱量が伝播し、新たなファンを増やすこと(=売上の上昇)が見込めるのです。
*余談ですが、ファンマーケティングを広めた第一人者である佐藤尚之さんは書籍『ファンベース』内で「ファンマーケティング」ではなく「ファンベース」というワードを使用することを強調しています。こちらの記事では広く浸透しているマーケティングというワードを使用していますが、「ファンベース」と同義の考えだと捉えてください。また、書籍『ファンベース』はファンマーケティングを知る上での必読書となりますので、こちらの記事を読んで、よりファンマーケティングを知りたくなった方はぜひ購入してみてください!
ファンマーケティングのメリット
ファンマーケティングの重要性を簡単に知っていただいたかと思いますが、では具体的にファンマーケティングはどのようなビジネス上の課題を解決するのでしょうか。
以下の3点から紹介していきます。
- 新商品・サービス開発への貢献
- LTVの向上
- 口コミの拡大、新規顧客の獲得
ファンマーケティングのメリット①:新商品・サービス開発への貢献
ファンの声を新商品やサービス開発に活用できます。例えば、商品やサービスに関する「アイデア出し」です。ファンは企業が気づかない商品・ブランドの提供価値を見出すことがあります。
取り組み例
- 共創:ファンと企業が共同で新商品・サービスを開発
- モニター:開発段階のプロトタイプをファンに評価してもらう
ファンは、企業の商品・ブランドの開発に積極的に関わりたがります。ファンと共に行うこれらの取り組みは、ファンマーケティングならではの効果を生みます。ファンの熱い想いを反映した開発が可能です。
ファンマーケティングのメリット②:LTVの向上
ファンは、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させます。LTVとは、顧客が企業やブランドに生涯を通じてもたらす利益のことです。1回の取引で得られる利益だけでなく、継続的な取引による利益を重視します。
成長市場では新規顧客を増やして売上を伸ばせますが、成熟市場では新規需要を喚起するのが難しいです。そのため、既存顧客=ファンの需要が重要です。ファンは1回だけでなく、2回、3回と商品を購入してくれる存在であり、LTVの向上にはファンの存在が欠かせません。
そのためにも、短期ではなく、長期的にファンと有効的な関係を結ぶことが不可欠です。
ファンマーケティングのメリット③:口コミの拡大、新規顧客の獲得
先に少し述べた通り、ファンは商品やブランドへの「好き」を具体的に語ってくれる重要な存在です。ファン同士が会うと共通の「好き」によって会話が弾み、新たな人とのつながりが生まれます。こうして「好き」の「輪」が広がり、クチコミによってファン層はさらに拡大します。これまで既存顧客についての効果を見てきましたが、その結果としてファンマーケティングには新規顧客を獲得する力もあります。ファンはSNSなどを通じて商品やサービスについて積極的に情報を発信します。消費者は企業からの情報よりも他の消費者のクチコミに敏感です。このような投稿を見た未購買層が共感し商品を購入することで、新規顧客の獲得につながります。
ファンマーケティングの成功事例。ファンマーケティングをうまく取り入れている企業
ヤッホーブルーイング:毎回チケット即完!ファンが熱狂する「超宴」
ヤッホーブルーイングはファンマーケティングが最も成功した企業の1社と言えます。同社は「超宴」という自社のクラフトビールを楽しみながら、ビールに関する発見があるアクティビティや、心躍るライブステージなど、ビールがさらに美味しく・楽しくなるイベントを毎年開催し、そのイベントは常に発売直後に完売するほどファンから支持を得ているイベントになっています。
https://yonasato.com/event/cho_utage
カゴメ株式会社:熱量の高いファンが集まるファンコミュニティサイト「&KAGOME(アンドカゴメ)」
こちらのカゴメのファン向けコミュニティでは、カゴメ製品を活用したレシピの紹介や商品のレビュー機能など、ファンがインタラクティブに楽しめるサイトになっています。
カゴメでは、定期的にファンとの座談会も行い、ヒアリングを通して開発された商品もあるなど、ファンコミュニティの成功例として参考になる部分が大いにあるのでぜひチェックしてみてください。
ファンマーケティングを成功させるための重要ポイント
ファンマーケティングを導入後、施策を成功に導くためには次のポイントを押さえることが重要です。他にもさまざまなポイントはありますが、まずはこちらの3点を押さえることを意識してみてください。
3つのポイント
ファンマーケティング成功の秘訣
ファンのニーズを理解する
ファンとの緊密なコミュニケーション
ファン同士が交流できる場を提供
ファンマーケティング成功の秘訣
- ファンのニーズを理解する
- ファンとの緊密なコミュニケーション
- ファン同士が交流できる場を提供
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
ファンマーケティング成功の秘訣①ファンのニーズを理解する
ファンのニーズを把握することは、ファンの心を掴むだけでなく、新規ユーザーの獲得にも繋がります。具体的な手法は以下の通りです:
- 製品やサービスの満足度調査
- 新製品のモニター募集
これらの手法を用いることで、企業に対する協力意識をファンに持たせることができます。ファンのニーズを正確に把握することで、既存製品やサービスの改善や、愛用者の声を反映した新製品の開発が可能になります。
ファンマーケティング成功の秘訣②ファンとの緊密なコミュニケーション
ファンと密にコミュニケーションを取ることは、ファンの心を引きつけるために不可欠です。交流の場を設けることで、新しいアイデアや現行製品へのフィードバックを直接得ることができます。また、ファンを大切にし尊重する姿勢を示すことで、信頼関係の構築にも繋がります。
企業内では出てこない意見やファン独自の視点を共有することで、さらなる発展が期待できます。SNSでの交流やファンミーティングの積極的な活用を推奨します。
ファンマーケティング成功の秘訣③ファン同士が交流できる場を提供
ファン同士が仲良くなることで、商品に関する情報交換や疑問解決がスムーズに行われることがあります。また、異なる商品を愛用するファン同士の交流を通じて、新しい商品の魅力に気づく機会も生まれます。
仲間意識が芽生えることで、商品や企業への愛着が一層深まります。ファン同士が交流できる場を提供することは、企業価値の向上にも繋がります。ファンコミュニティを作成し、ファンが自発的に運営に関与できるよう促進すると良いでしょう。
また、ファンマーケティングの施策実践のステップ早見表も作成しましたので、こちらのステップをガイドにさまざまな施策を試してみてください!
ファンマーケティングの実践ステップ
- ステップ1: ターゲットオーディエンスの特定と分析
- ステップ2: ブランドストーリーの構築
- ステップ3: ファン向けの特別な体験の提供
- ステップ4: ソーシャルメディアでのエンゲージメント強化
- ステップ5: データの活用と改善サイクルの確立
さいごに
ここまでいろいろなことを書いてきましたが、ファンマーケティングで重要なことは「真摯に顧客の声に耳を傾け、商品・ブランドを改善していく」ことだと思います。まだ熱量の高いファンが顕在化されていない状態でも、顧客一人ひとりの声をぜひ聞いてみてください。必ず何かヒントがあるはずです。
そのため、ファンマーケティングを行うには長期的な目線が必要になってきます。結果がすぐ出なくても、継続して改善を続けていくことが必要です。
この記事が少しでもファンマーケティングの理解への助けになっていたり、実施を検討するきっかけになったら嬉しいです。
以上、 &Fans 編集長 神谷がお送りしました!
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&Fans を運営する rayout ではファンマーケティング導入のお手伝いをしています。まずは何をやったらいいか、ざっくりとした相談でも構いませんので、ぜひお気軽にご相談ください。
ファンマーケティング手法一覧
ファンミーティング
愛用者と交流するために行うイベント
ファンコミュニティ
SNSやネット上で行われる、愛用者同士や愛用者と企業が交流するための場所
サブスクリプション運営
月額など、定期的な課金でサービスを提供する
メルマガ配信
企業が愛用者に向けてメールを配信する
SNSキャンペーン
月額など、定期的な課金でサービスを提供する
ライブ配信
企業が愛用者に向けてメールを配信する
クラウドファンディング
企業が愛用者に向けてメールを配信する
サンプリング体験
限られたファンにサンプリングを行い、SNS等で口コミの発信を行ってもらう
※1「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組みあわせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法
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