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Kosada
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もし、自分が考えたお菓子が本当に商品化されたら——。
そんなワクワクする取り組みを実現している企業があります。
こんにちは、&Fans編集部のこさだです。
&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
滋賀県・近江八幡で誕生した洋菓子ブランド「クラブハリエ」は、独自のファンコミュニティインスタライブ「クラブハリエクラブ」を通じて、お客さまと双方向のコミュニケーションを育んでいます。代表取締役社長・山本隆夫さん自らインスタライブに出演し、新商品や試作品の紹介、開発の裏側をリアルタイムで発信。ファンがブランドの“今”を一緒に体感できる場を築いてきました。
さらに、視聴者とともに商品をつくり上げる共創型のプロジェクトも展開しています。
今回は、「クラブハリエクラブ」がどのように生まれ、どのような“共創の場”として育ってきたのか。その背景や想い、今後の展望について山本さんに伺いました。

目次
「クラブハリエ」は、1872年に近江八幡で創業した和菓子舗「たねや」を原点とするブランドです。150年以上にわたり地域の方々に親しまれ、製造から販売まで一貫して自社で行っています。看板商品のバームクーヘンをはじめ、パン、チョコレート、アイスクリームなど多彩な商品を展開。いずれも自社工房でスタッフがゼロから手づくりしており、これこそが「クラブハリエ」ならではの大きな魅力だと思います。
きっかけは、「たねや」の近くに暮らしていたウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の存在でした。数々の名建築を遺した人物で、私たちとも親交が深く、西洋文化についてさまざまなお話を聞かせてくれたんです。そのなかでスイートポテトやアップルパイといった洋菓子を教わったことが転機となり、和菓子店の一角に洋菓子を並べるようになったのが始まりでした。
私が家業を継いだ頃、バームクーヘンが百貨店への出店を通して全国的に話題となり、多くの方々にご好評いただけるようになりました。ただ、バームクーヘンだけに注力しているわけではありません。街のケーキ屋さんのように、お客さまの声に応えながら商品づくりを続けてきました。応用を重ね、若手職人の育成とともに多彩な商品を生み出してきたことで、現在の幅広いブランド展開につながっています。
2015年のオープンから10周年を迎えましたが、今でも多くの方々に足を運んでいただいています。豊かな自然の中に建物が溶け込み、お菓子を楽しむだけでなく、自然や空間そのものを味わっていただける特別な場所を目指して、細部まで遊び心を散りばめました。季節ごとに表情が変わるため、訪れるたびに新しい発見があるはずです。

「クラブハリエクラブ」は、お菓子が好きな方や楽しいことを共有したい方と、もっとつながりたいという思いから始めたオンラインコミュニティです。登録制のファンクラブではなく、誰でも自由に参加できるオープンな場として運営しています。基本はインスタグラムで、新商品やイベント情報、製造の裏側などをリアルタイムでライブ配信。お客さまとの距離がぐっと縮まり、双方向のコミュニケーションが生まれる場所になっています。
きっかけはコロナ禍です。外出が制限され、みんなが自宅で過ごしていた時期に、「このままだと会社の元気もなくなるし、お客さまとの距離も離れてしまう」と感じていました。そこで「みんなどうしてるのかな?」という気持ちから、インスタグラムで軽く話し始めたのが最初です。ただ、当時は10人ほどしか視聴者がいなかったんですよね。
とにかく続けたことが大きいと思います。例えば、コロナ禍で誰もいない「ラ コリーナ」を生中継したり、自宅で材料をそろえてお菓子づくりに挑戦したり。当時はインスタライブが1時間で自動終了する仕様だったので、「絶対に1時間以内で作り切る」というライブクッキングなどもよくやっていました。直接お客さまと会えない状況だからこそ、“どう楽しんでもらうか”を常に考えていましたね。

今では、「ハリエニュース」「チョコ部」「ハリエプロジェクト」「ラ コリーナレポート」「クラブハリエナイトクラブ」といった5つのコンテンツに分け、インスタグラム内でそれぞれ配信しています。広報チームと連携しながらコーナーの流れをつくり、視聴者の皆さんとコミュニケーションを取る場所としてさらに広げています。

チョコ部が生まれたのは、ライブ配信を始めた頃に「せっかくなら、今販売しているお菓子も一緒に見てもらおう」と紹介したことがきっかけでした。すると視聴者がどんどん増えていき、バレンタインが近づく時期に「今年はどんな商品がほしいですか?」と問いかけてみたんです。すると、本当にたくさんのアイデアをいただいて。「それなら一緒につくりましょう」と、自然な流れで“共同開発”が始まりました。
コロナが落ち着いた最初のバレンタイン催事で販売するためにつくったのが「ピスタチオサンド」でした。どうせならパッケージや商品名も全部みなさんに選んでもらおうと、ライブ中に候補を出しながら多数決で決めていったんです。商品の初お披露目には“部員”の方々にも来ていただき、オフラインで直接お話をする場も設けました。

“用意しすぎないこと”です。こう誘導しようとか、こう落とし込みたいといった方向づけはあまりしません。ライブで生まれる会話や偶然の流れを大切にして、「その場で起きたこと」をそのまま活かすようにしています。視聴者の方々も、思いつきでどんどん意見を出してくださるので、こちらも焦りながらリアルタイムで考える。そういう生のやりとりが醍醐味ですし、それが“共創”の楽しさにつながっていると思います。
本当に、たくさんあります。商品案をトーナメント方式で絞り込む段階で「これは難しいぞ…」というものが残ることもあります。ただ、その場合は素直に理由をお伝えするように心掛けていますね。たとえば限定チョコレートを大量に使う案などは、生産数が確保できないこともあるとか。そうしたものづくりのリアルを共有しながら、一緒に考えていくようにしています。
ほかにも、開発した人は広報として発信することも大切だとお伝えしています。食べた感想などを積極的にシェアしていただくことが、商品が育っていく過程の一部なんです。「私たちが売るので皆さんは自由にしてください」ではなく、視聴者の皆さん自身も“どうやってこの商品を広めていくか”を一緒に考えてもらっています。
でも実際は、皆さん思い入れを持って参加してくださるので、自然とSNSで紹介してくれたり、ご家族や友人におすすめしてくれたりと、積極的に発信してくれますね。
売上だけを見ると、社内で企画した商品を販売するほうが効率がいいのは確かです。ただ、「チョコ部」のようにお客さまと一緒に商品をつくる取り組みでは、こちらが想像していなかった声やアイデアに触れられる。「案外こういうものを求めているんだ」という気づきが毎回あって、とても学びになります。そして何より、“一緒につくった”という体験が、お客さまのブランドへの愛着につながっていると感じますね。
これまでは自分たちで商品を考え、店に並べれば、あとは店舗が売ってくれるという流れがありました。しかし、インスタグラムを通じてお客さまの声を直接聞けるようになったことで、一方通行の商品開発ではなくなってきています。実際、若いスタッフは店舗でも積極的に話を聞くようになり、“お客さまの声を踏まえた開発”へと意識が変わってきたのを実感しています。
「クラブハリエクラブ」は“お客さま主体”のコミュニティだと思っているので、視聴者の希望に応えていくことが一番ですね。もし配信の反応が薄くなったら、それはもっと学ぶべきサインと捉えて柔軟に見直し、より良いコミュニケーションを育てていきたいです。
これまではバレンタインに特化した取り組みが中心でしたが、今後はクラブハリエ全体を一年を通して楽しんでいただけるような企画を増やしていきたいと考えています。視聴者の皆さんの声を聞きながら、もっと気軽に、もっと自由に参加できるコミュニティへ育てていけたらと思っています。
インスタライブ配信での何気ない会話から商品が生まれ、視聴者のひと言がカタチになり、
完成したお菓子を手にした人が、誇らしげに語りたくなる──。
「クラブハリエ」はただ、おいしいお菓子をつくるだけではなく、
つくる楽しさまでも届けているブランドだと感じました。
効率や売上よりも、「一緒にやること」の価値を大切にする姿勢。
その本気さと遊び心が、クラブハリエならではの“共創コミュニティ”を支えています。
この場所から、また新しいお菓子やストーリーが生まれていくのだと思うと、
こちらまでワクワクせずにはいられません。
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