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Takanashi
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応援されるだけのビジネスは、もう終わり。これからは、ファンと“共に育てる”時代に。
こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリー、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は、国内最大級のクラウドファンディングサイトを運営する「株式会社CAMPFIRE」で執行役員を務める岩井さんにお話を伺いました。
事業を始める際に必要な資金は、信用や担保をもとに銀行やベンチャーキャピタルから融資や出資を受けるのが一般的でした。そのなかで、“共感”をベースにした新たな資金調達の仕組みを築いたのが「CAMPFIRE」です。
事業を始めたい「挑戦者」と、その想いに共感・応援する「支援者(ファン)」。両者の関係を表すとしたら、支援ではなく共創関係と言えるでしょう。今回は、共感によって熱狂が生まれる仕組み、共創が生まれる舞台裏について迫ります。
目次
当社は、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」を運営する会社です。「一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる」ことをミッションに掲げており、資金の有無にかかわらず、誰もが挑戦できる社会づくりを目指しています。
CAMPFIREを通じた支援件数は約10万件、総支援額は約1,000億円にのぼります。会員数は510万人を超えており、国内最大級のクラウドファンディングプラットフォームとして多くの挑戦者を支えています。
新型コロナウイルスの蔓延は大きな転機になったと思います。日本中のあらゆる事業者さまが苦しい状況のなかで、CAMPFIREを使っていただくケースが増えました。
コロナ禍において「少しでも事業者さまの力になりたい」という思いから、当時は手数料を大幅に引き下げて運用していました。規模の大小に関わらず、あらゆるプロジェクトに向き合ってきたCAMPFIREだからこそ、コロナ禍での急激な需要にも対応できたと考えています。結果的に全国各地で2,000件を超えるプロジェクトが立ち上がり、多くの支援が集まりました。
そうですね。創業者の家入さんは自身の経験をもとに「声を上げたくても上げられない人々が、たとえ小さくとも声を上げられる社会」を目指していました。そのなかで立ち上げたのがCAMPFIREです。当初はクリエイターと応援したいパトロンを繋げるマイクロパトロンプラットフォームとしてローンチされ、まさに最初から“共感”が支援の原動力になっていました。
共感をベースにした資金調達の仕組みによって、支え合いの経済がひろがっていくことを期待しています。
「まずは一歩を踏み出してみたい」「自分の想いをかたちにしたい」という、言葉にしづらい動機や小さな気持ちでプロジェクトを立ち上げる方も多くいます。そうした方々に対して「一緒にプロジェクトを実現したい」「この人を見守りたい」といった共感の気持ちから支援が集まる。この仕組みこそが経済合理性だけでは測れない、支え合いの文化を育てていくと考えています。
今後の日本は人口が減少していくため、地域や産業、市場の縮小は避けられない課題です。そのなかで、挑戦したくてもできない人や声をあげられない人が増えていくと予想されるため、私たちのプラットフォームを通じて、個人が築きあげる小さな経済圏をサポートしていきたいと思っています。そうした小さな挑戦の積み重ねが、これからの時代を支える新しい経済の土台になると信じています。
そうですね。印象的だったのは、千葉県習志野市の音楽ホール再建設に向けたクラウドファンディングです。維持費がかかるパイプオルガンの再設置に見解が分かれているなかで、目標金額を達成した場合のみ支援金を受け取れる「All-or-Nothing方式」で実行されたものでした。目標金額は6,000万円と高額ではありましたが「子どもの頃にお世話になった」という声が広がり、市民のあいだで共感の輪が生まれていきました。最終的には目標額を超える約8,600万円もの資金が集まり、パイプオルガンを残すことが決定したのです。
挑戦者がプロジェクトページを立ち上げる際には、企画段階から伴走するようにしています。ページの構成や伝え方によって、支援者の集まり方は大きく変わってくるため、「誰に・何を届けたいのか」「どのようなリターンを求めるのか」などを丁寧に設計し、より多くの共感が集まるようにサポートしています。
実は、知り合いからの紹介で利用いただくケースが多いです。プラットフォームによって独自の採択基準を設けており、プロジェクトを断られたりする事例も少なくありません。一方「CAMPFIRE」では、問い合わせがあればすぐに担当者がついてサポートを行い、広く挑戦を受け入れる姿勢を大切にしています。これらの真摯な取り組みが「安心・安全なプラットフォーム」というブランディングにつながり、紹介の輪が広がったのではないでしょうか。
冒頭でもお伝えしたように、私たちのミッションは「一人でも多く一円でも多く、想いとお金がめぐる世界をつくる」ことです。小さな経済圏を築く個人や資金力のない方々をサポートするために、当社は「オールジャンル」と「ロングテール*」を強みに掲げ、規模感や地域を特定せず、幅広いプロジェクトをサポートしています。
最近、私は香川県の三豊市仁尾町に移住したのですが、居住する地域がクラウドファンディングが非常に浸透している地域なんです。人口約5,000人の町なのですが、今月だけで3件ほどのクラウドファンディングが立ち上がっています。これだけの実績が生まれているのは、ロングテールで向き合ってきた結果だと感じますし、クラウドファンディングを通じて支え合いの文化が育まれていっていると現地で感じています。
*ロングテール:ニッチな商品を大切にして、将来的に大きな価値や売上を生み出すこと
まさにそのとおりで、挑戦者と支援者という別々の関係性で始まったプロジェクトが、時間が経つにつれて立場が逆転していく場面をよく見かけます。エンタメ系のプロジェクトを例にあげると、もともとは「グッズが欲しいから支援する」という動機だった支援者が、いつの間にか「挑戦者の想いをもっと広めたい」と感じ、自ら積極的に情報を発信していることも。
この現象が起こる理由は、両者のあいだに「このプロジェクトを“一緒に”成功させよう」という共創の気持ちや関係性が育まれているからだと予想します。クラウドファンディングにおいて、「挑戦」と「支援」は表裏一体の関係であり、常に入れ替わりながら循環していくものなのではないでしょうか。
支援者が挑戦者に向けて応援コメントを送れる機能を設けています。お金のやり取りだけでなく想いのやり取りも生むことで、より深いつながりを育んでもらえることを期待しています。実際に、ユーザーアンケートの結果からも、支援理由として最も多かったのが「夢や想いに共感したから」であることがわかりました。この数字は、CAMPFIREが「コトを目的とした支援の場」であることを象徴していると思います。
他には、月額課金型クラウドファンディングの「CAMPFIREコミュニティ」というコミュニティプラットフォームも展開しています。今後は、挑戦者と支援者がより対等な立場でコミュニケーションがとれるような共創型のプラットフォームを目指してまいります。
支援者は“コアファン”になり得る、貴重な存在だからです。プロジェクトが終わると同時に、関係が終わってしまうのは非常にもったいないと思っています。挑戦者を継続的にサポートできる体制を提供することが、挑戦者にとってもCAMPFIREにとっても、大切なことだと思います。
CAMPFIREには、走り出したばかりでファンがついていない挑戦者も多く存在しています。そのような方にも「一歩踏み出してよかった」と思ってもらえるように、支援者の経験がある方にプロジェクトページづくりに関わってもらえたり、リターンの設定をアドバイスしてもらえる機能を加えたいと思います。挑戦者側に参加できるような仕組みを築くことで、さらなる共創が生まれたらうれしいですね。
そうですね。だからこそ私たちは全国各地のパートナーさんと手を組みながら、地域に根ざしたサポート体制を強化していきたいと思っています。たとえば、地域で活動されている個人の方、自治体や地域金融機関、地域メディアなどと連携しながら、各地で勉強会や実践支援の機会を提供しています。こうした動きによって、初めての方でも一歩踏み出しやすくなり、地域に新たな挑戦や小さな経済圏が生まれていく。それが私たちの目指す未来です。
共創において一番大切なのは「同じ方向を見て、同じ目的に向かって進めるか」だと思います。そのためには、まず自分たちの掲げる目標をぶらさずに持ち続けること。そして、その目標に共感してくれる仲間やファンと出会えたときに「どうすれば一緒に実現できるか?」を真剣に考え、お互いの強みを活かし合っていく姿勢が大切だと思います。共創とは、一方的に引っ張ることでも、迎合することでもありません。互いに対等な立場で信頼を築きながら、未来をつくっていくプロセスそのものです。そうした関係性がこれからの時代において、ビジネスの本質になっていくのではないかと感じています。
どれだけ強い思いを持っていても、実績や資金がなければ夢を諦めてしまうことも。
しかし、クラウドファンディングの誕生によって「夢や想い」に共感が集まり、その共感が原動力となって、夢の実現に向けて努力しつづけられるようになったと感じます。
夢を諦めてきた人も、強い想いに共鳴してくれるファンに出会うことで、夢を追える時代に。そんな「共感の連鎖」をサービスに落とし込むCAMPFIREは、もはや資金調達の場を超え、日本経済を底上げする力を秘めているプラットフォームなのかもしれません。
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取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作
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