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Takanashi
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こんにちは、&Fans編集部の小鳥遊です。
&Fansでは、熱狂を生むさまざまな企業や個人のストーリーや、それらの考えに紐づくマーケティング概念などを紹介しています。
今回は、女性向けのファッションレンタルサービスを提供している「株式会社エアークローゼット」の代表取締役である天沼さんに話を伺いました。
主力サービスの「airCloset(エアークローゼット)」は、日本初・国内最大級の“普段着”に特化したレンタルサービスです。女性が選ぶファッションサブスクリプションサービスNo.1*に選出されており、会員数はなんと130万人を超えています。
海外通販サイトやフリーマーケットアプリの普及により、手軽かつ安価にファッションを楽しめる現代。そんな時代の中で「airCloset」が女性ファンから圧倒的な支持を得ている理由について迫ります。
*株式会社JCマーケティング/調査期間:2023年6月期_サイトイメージ調査/調査方法:インターネット調査
目次
主に「airCloset(エアークローゼット)」と「airCloset Mall(エアクロモール)」という事業を展開しています。その中でも主力のairClosetは、月額制で普段着をレンタルできる、女性向けのサブスクリプションサービスです。会員登録をするとスタイリストが選んだ3着または5着のコーディネートが自宅に届く仕組みで、返却期限がないので好きなだけ着用できます。気に入った場合はそのまま購入することも可能です。
airCloset紹介ページ:https://www.air-closet.com/
よく聞かれるのですが、実はそうではないです。私たちはITコンサル出身の3人で創業しましたが、ファッション業界に最初から絞っていたわけではありません。とりあえず3人で起業することだけ決めて、何をするかは決まっていない状態からスタートしました(笑)。
その中で最初に決めたのは、会社の存在意義です。何のために会社を始めるのかを話し合い「ライフスタイルを豊かにするものを生み出したい」という想いで一致しました。我々が理想とするものを事業で実現すれば、長く続けられるだけでなく、本当に価値のあるものを提供できると考え、最終的には「時間の価値を高める会社」を作りたいという想いに辿り着きました。
誰もが平等に持っているものの、使い方や感じ方によって大きく変わるのが「時間の価値」だと思います。当たり前ですが、時間は巻き戻らないし、泣き喚いても返ってこないんですよ。小学生の頃の話ですが、当時の僕は父親にべったりな“父親っ子”でした。ある日、一緒に食事をしてソファーで談笑していた時のことです。突然父親が倒れて、そのまま帰らぬ人になりました。そのときは状況を深く理解できていなかったものの、後になって気づいたんです。「限られた人生の中で、自分らしく生きること」が、自分の人生のテーマなんだと。人生は何でも起こり得ること、時間は有限であることを、突然すぎる父親との別れから学びました。
時間は有限であるからこそ、ワクワクしている時間の価値が最も高いと定義して「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」という言葉を会社のビジョンに掲げました。これを決めた時、個人的にとてもしっくりきたんです。このビジョンを会社が旗印として掲げるんだったら、僕は何があっても、どんなことでもやりきれると思いました。
創業メンバーだから当たり前と思われるかもしれませんが、経営者が会社のビジョンに心の底から共感できていることは大切だと思います。
限られた時間の中で、時間の投資や使い方を考える機会が多いのは女性だと定義しました。また、女性の中でも仕事や育児に追われている“忙しい女性”こそ、より時間の価値を感じやすいと思います。忙しい女性に話を聞くと「時間があればウィンドウショッピングを楽しみたい」とか「ファッション雑誌を読みたい」という声が多かったものの、24時間の中でやるべきことを埋めていくと溢れてしまうんですよ。やりたいのにできないジレンマを解決できたら、時間の価値を高められるだけでなく、新しいファッションとの出会いが作れて面白いと思い、女性向けファッションサービスを作りました。
レンタルサービスにすると決めた時、クリーニングをしてから返却してもらい、返却期限を過ぎたら延滞料金を請求する案も検討しました。しかし「クリーニング屋が閉まる前に帰ろう」とか「デートを楽しみたいけど延滞料金がかかるから早めに帰ろう」と思わせてしまっては、忙しい女性の限られた時間に“我慢”が増えていく一方だと思ったんです。
「今の生活リズムを変えずに、忙しい女性の時間の価値を高めたい」という想いに立ち返ることで、最終的には廃止しました。我々にとって運用しやすいサービスであるかは関係ありません。大切なのは、お客様が求めるサービスを提供することだと思います。
airClosetは新たなファッションに出会えたり、気になる色味を試せたりするサービスなので「お得」や「可愛い」などの感想が一般的だと思います。ただ、あるお客様から「QOL*が上がりました」という感想をいただき、とてもしっくりきたんです。この言葉は、時間の価値を高めたい一心でサービスを作ってきた我々にとって最高のフィードバックでした。
*QOL:クオリティ・オブ・ライフの略称。生活や人生の質を意味する言葉
当社に在籍するメンバーの3分の1はエンジニアですので、AIスタイリングの研究開発は行なっています。ただ、その上でどちらを選ぶかというと我々はスタイリストを選びたいです。創業前に「9Hearts」という行動指針を作り「お客様の感動が第一」を掲げた当社は、現在もスタイリストがお客様一人ひとりに合わせてコーディネートを組み、メッセージを添えてお届けしています。この生身のスタイリストが提供する“お客様の体験価値”を、現時点でAIは超えられません。
ただ、我々はITの会社なので、AIを全く活用していないわけではないです。50万点以上のアイテムの中から、お客様のサイズに合わないものを除外したり、過去にお届けしたものの重複を防いだりなど、人の力では限界がある部分は支えてもらっています。お客様の体験価値が最大化されなければairClosetを選んでもらう意味が無いと思っているので、不器用かもしれないですが特にこだわっている部分です。
ニーズ把握という観点では、流行や話題になっているものに対して、人気が出た理由を考える癖づけはしています。ただ、そこに男女差は意識していません。僕が常に意識しているのは、人間の本質的な欲求に大きな差はないということです。例えば、誰しも自己承認欲求があるし、サービスを利用するならお得に購入したいと考えるのが一般的ですよね。
普段からairClosetを利用しているかたにも「家族でディズニーランドへ行く」 や 「友人の結婚式に参列する」 など、スポットで発生するファッションシーンが必ずあります。お客様の生活にどんなファッションニーズがあるかを日頃から想像して、具体的なサービスに落とし込んでいます。
物流やスタイリストの人数、AI活用、回転率……など、サービスの優位性を挙げ出すとキリがないですが、そこの比較にあまり意味を感じていません。なぜなら、当社と他社様では目指している未来が違うからです。我々が目指す未来は、時間の使い方を変えずに多くのファッションに出会えて、大事に着た一着だと思いながら最後を迎えてもらうことです。個人的には、もっと他のファッションレンタルサービスが増えて、利用者様が新しい自分を発見できるようになれば嬉しいと思います。
競争環境に置かれたほうが張り合いが生まれます。当社だけではサボってしまう可能性がありますから(笑)。お客様に感動体験を提供するために、各社が本気でアイデアを出し合うことが業界全体へプラスに働くと思います。何より当社のサービス品質に絶対的な自信を持っているので、良いサービスを提供していけたら競合が増えてもお客様に選ばれ続けると信じています。
創業当初に議論しましたが、人生で最も輝く瞬間の結婚式でも、ウェディングドレスをレンタルするかたが多いです。つまり、コストパフォーマンスに納得できれば、若干の抵抗感さえも凌駕すると思います。また、レンタルサービスはお試し権利を得られる点も魅力の1つです。我々は、この“お試し消費”を世の中の当たり前にして、無駄な消費をなくしていきたいと思っています。
ファッション産業は環境負荷が特に高い産業の1つです。世界規模で見ても、ワースト2位と言われることもあります。日本国内でも年間約50万トンの衣類が廃棄されており、これは大型トラックで毎日100台以上にも相当します。自分には似合わないアイテムでも、他の人にとっては似合って、大切にできるアイテムかもしれません。だからこそ、シェアしながら受け渡していく当社のサービスは、社会がサステナブルな流れに進んでいく中でも、長期的に愛され続けるビジネスモデルだと思います。
現在は「物流プラットフォーム事業」に取り組んでいます。ファッションレンタル事業における最大の障壁は物流面にあると考えた当社は、独自のWMS(倉庫管理システム)を開発しました。他社様がファッションレンタル事業を始める際、ゼロから倉庫の仕組みを構築するのは非常に困難ですが、当社のシステムを使っていただければ事業を始めやすくなり、結果的に業界全体の発展へとつながっていくと思います。
10年前に思い描いたairClosetの理想に対して、やっとスタートラインに立てたか、もしくは、まだ立てていないと感じます。新しい領域に手を出すよりも、まだ大きな可能性を秘めている「モノ×シェアリング事業」を、世の中の当たり前に定着させる活動に注力したいです。新たな事業を始めるとしてもファッションにこだわる予定はありません。驚くような領域に挑戦する可能性もありますが、創業当初から掲げる「時間の価値を高める」という想いを大切にしながら、今後も多くのかたに価値を提供していきたいです。
東京都港区南青山の一等地に本社を構える株式会社エアークローゼット。着物を着ているかたや、ファッション雑誌から飛び出してきたかと思うほどお洒落なかたが働いており、そのスタイルの多様さからファッション業界をリードする企業らしさを感じました。
「ファンが多く集まる企業・サービスには、必ず隠された“想い”があると思っています」とお伝えして始まったインタビュー。天沼さんはこの言葉の意味を100%理解して、120%の言葉で想いをぶつけてくださるだけでなく、インタビューに同席していたrayoutインターン生からの質問には、学生目線に立って親身に答えてくださいました。
そのお姿を拝見して「ファンが多い理由が全て詰まっている……」と胸が熱くなった筆者。以降、仕事や育児に忙しい友人に会うたびにairClosetを紹介するようになりました(笑)。自分もファンの1人に仲間入りしたことを実感する日々です。
今回のインタビュー記事をきっかけに、多くのかたに「株式会社エアークローゼット」の魅力、そして「天沼社長」の想いが伝わり、1人でも多くのファンが増えることを願っております。
取材・執筆:小鳥遊まゆか
編集:神谷周作
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